探し続ける自身の「Calling」と「新しい家族のかたち」

ランドバーグ史枝 Google コンシューマーケアオペレーション統括部長 (phograph by Ramin Rahimian)

1つの言葉が、ランドバーグ史枝の人生を大きく突き動かした。ビジネススクール時代に出会った、米国の慈善活動家オプラ・ウィンフリーの言葉だ。「You have to find your calling(あなた自身の使命を見つけなさい)」。アフリカン・アメリカンの家庭に生まれ育ったウィンフリー自身も、苦労を重ねながら、それを探し続けていた。自分も死ぬまでに本当にやりたいことをやり遂げなければならない。そう思った。現在米グーグル本社で、100人超の部下を抱え、世界のグーグルユーザーに向けてコンシューマーケアを統括する立場にあるランドバーグは、自身のターニングポイントについてそう語る。

「人間としてあまり成熟している方ではなかったので」。米国へMBA留学する前は、本当に自分は社会に必要とされているのか、そう感じることもあった。人類の進化にも関わる、高い理想を掲げる会社、グーグルに出会えたことが、自身のキャリアにとって大きかった、と語る。また、ランドバーグの原動力の源として欠かせないのが、ウィンフリーの言葉と共に、家族の支えだ。

「どちらかが仕事のキャリアで重要な時期は、どちらかが仕事をセーブしてサポートに回ります」。ビジネススクールで出会ったアメリカ人の夫と、キャリア転換の節々で話し合ってきた。「主人が頑張らなければならない時は、私がペースダウンします。夫婦でプロフェッショナルにやっていくには、相談し合わなければ実現できません」。2013年、日本のグーグルへの採用が決まり、家族で日本へ移った際には、エンジニアの夫が日本でもフリーランスで働けるよう、環境を整えてから渡日した。しかし、それから3年経った今年の5月、偶然から現職への昇進の機会を得て、アメリカ本社勤務に。再び、家族揃ってシリコンバレーへ移った。夫は受注元の会社で、正社員としての勤務を始めた。

働き方を柔軟に変えながら「Calling」を探し続ける、新しい家族の形だ。



Q1 人生で最も辛かった経験は?

辛かった、というか衝撃だったのは、NY勤務時代に遭遇した9.11。人の命の儚さを感じた。

Q2 ターニングポイントは?

ビジネススクール時代。オプラ・ウィンフリーの言葉は、今でも折節に振り返ることがある。

Q3 影響を受けた実在の人物は?

小学校の先生。詩人だった。学級新聞に毎回パズルをのせてくれて、それを解くのが好きだった。

Q4 原動力となる言葉

「Hope」。人間、希望がないと力が出ない。なるべくチームもそういうもので導きたい、と思う。

特集】武器はミッション、舞台は地球! 世界で闘う「日本の女性」55

文=岩坪文子

この記事は 「Forbes JAPAN No.26 2016年9月号(2016/07/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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