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2016.08.04

円高はチャンス? 海外不動産投資について知っておくべき7つの心得[マイナス金利時代の資産運用術 第3回]

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2016年に入ってから、アベノミクスによって数年間続いてきた円安が逆回転を始め、米ドルは円に対して2割近く下落しました。英ポンドに至っては、EU離脱の国民投票の結果を受けて最高値から3割の下落となっています。

これから外貨投資を始める人にとっては「チャンス」のときです。

確かに為替は、ドル円にもまだ一段の円高のリスクが残っています。また、新興国に投資する場合、現地通貨の米ドルに対する下落リスクもあます。しかし、新興国の成長率は高いところでは7%を超えており、現地の経済成長による不動産価格へのプラス影響を考慮すれば、リスクとリターンからは長期の投資対象として悪くないタイミングです。

新興国には、経済成長、人口増加、インフラ整備という不動産の価値を高める3点セットが揃っています。先進国に比べれば、政治リスクや経済の不安定さなどのマイナス要因もありますが、成長によってそのリスクはかなり吸収されるのです。

例えば、5年の投資スパンで考えれば、5年後に仮に今より20%円高になっていたとしても、現地価格が20%上昇していれば、円ベースの価格は変わらず、インカム収入分はプラスという計算も成り立ちます。

と、良いことばかり書いてきましたが、新興国の不動産投資は国内とは違った不確定要因も多く、ハイリスク・ハイリターンであるのは事実。自己責任でリスクを取ることの出来る人だけがチャレンジすべきと投資対象と言えます。

日本の高齢化は世界で最も早いスピードで進んでいます。総人口に占める高齢者の割合は現状で26.7%。2030年には65歳以上人口は31.5%に達するという予想です。人口ピラミッドの変化によって、産業構造やライフタイルが大きく変わっていくことは確実です。

その高齢化問題は経済の成長率を押し下げ、政府の財政赤字の増大をもたらします。日本の財政状態は対GDP比で見れば、先進国の中でも最悪の状態で、赤字が縮小する兆しはありません。歳入は増えず、歳出だけが増大していく中で、唯一の解決方法はインフレということにならざるをえません。それは結果的に円安をもたらし、海外不動産投資にプラスのリターンをもたらすことになります。

老後に向けて長期の資産形成をしているような人は、英国のEU離脱問題よりも、このような日本の長期的な課題に目を向けるべきです。そこから逆算して取るべき投資戦略の方が、資産運用の成果を決める重要な要素になるのです。

これから海外不動産投資を始めようという方に、知っておくべき基本を7つのポイントにまとめてみました。
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文=内藤 忍

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