「通年のガイダンスを達成すべく尽力しているが、達成できないリスクがある」と、同社のボブ・シャンクスCFOは語った。「元の水準に回復するためには、今年後半に予想を上回る業績をあげる必要がある」
決算発表を受けて、フォードの株価は一時9%下落し12.55ドル(約1,280円)となった。
アナリストのリサーチ情報の収集・分析を行っているザックス・インベストメント・リサーチ(Zack’s Investment Research)によれば、同社の第2四半期の実質1株当たり利益は52セントでアナリスト予想の60セントに届かなかった。
純利益は19億7,000万ドルまたは1株当たり49セント。前年同期の21億6,000万ドルまたは1株あたり54セントから下落した。
フォードは、第1四半期(1~3月期)の好業績と合わせると、2016年前半の業績は記録的水準になったと強調。第2四半期の売上高は395億ドル(約4兆318億円)と前年同期に対して約6%増加し、営業キャッシュフローは記録的な42億ドル(約4,287億円)に達した。
それでも、特に自動車の需要の伸びが鈍化している米国内での価格低下とインセンティブ(販売促進費)の高騰が利益幅に打撃を与えたとフォードは言う。北米では第2四半期、14.4%の市場シェアを維持するために追加で10億ドル(約1,021億円)を値引きとインセンティブに充てたため、利益幅は12.2%から11.3%に下落した。
「特に米国の自動車市場が低迷し始めてから、インセンティブはきわめて緩やかながらも増加傾向にある」とシャンクスは語った。また、1年前には新型ピックアップトラック「F-150」(発売後に供給不足の問題が発生)へのインセンティブはきわめて低水準だったが、今ではインセンティブが「より一般的」になっていると指摘。それでもそれにかかる費用に関して、フォードは多くの競合よりも「いい状態」にあると付け加えた。
だが同社は2016年後半、より厳しい状況に直面することになるだろう。主力製品である「F-150」を19年ぶりに性能向上させる大型アップデートにコストがかかることもあり、第3四半期の業績は予想よりも低くなるだろうとしている。
マーク・フィールズCEOは、2016年前半は当初の予想よりも16億ドル(約1,633億円)多いコスト削減を実現したことで、多くの下振れ圧力を相殺することができたと分析。2016年後半はコスト削減の取り組みをさらに加速させ、また特に米国と中国において収益や売上高を引き上げる方法を模索していくと語った。
米国を除く地域を見ると、南米では引き続き販売不振に直面。ヨーロッパ市場での売上高は上昇、アジア市場では主に急速な伸びをみせる中国の自動車メーカーとの競争が激化したことを受け、売上高は下落した。