少なくともその精神は受け継がれていくという車もある。ブランド再構築によって、改名された上で販売が続けられる。だが、現在の名称での販売が終了するモデルの一部は、売れ残っていつまでも屋外で売りに出され続けることになるだろう。
そうした中には、そもそも時代に合わなかったというモデルもある。そして、トレンドや消費者の好みの急激な変化の犠牲になったものもある。
「サイオン」は“犠牲者”
最近の自動車業界における劇的な変化の不運な犠牲者といえるのが、「サイオン」だ。この秋には、ブランド名を「トヨタ」に変更する。
奇抜なデザインのサイオンは発売当初、ターゲットとしていた若年層にも受け入れられ、売り上げも順調だった。特に、ワゴン型の「xB」は人気だった。だが、その第二世代のモデルや後に続いたその他のモデルは個性的な特徴が消え、主流に近づいていった。同じショールームに並ぶ、「トヨタ」のバッジを掲げたその他のモデルと似たような車になっていったのだ。
さらに、クロスオーバー車の人気が高まる中でもサイオンは小型SUVを提供しなかった。これもまた、売り上げの低迷を招いた原因といえる。クーペの「サイオンtC」も、生産中止となる。
「xB」と「tC」以外は今後、トヨタのモデルとしてバッジを変えて販売される予定だ。スポーツカーの「FR-S」は、その他の世界各地と同様、トヨタの「86」と呼ばれることになる。
テスラ車など競合に負けたモデルも
電気自動車のラグジュアリー・クーペ、キャデラックELRも2016年モデルイヤーで生産を終了する。テスラの「モデル3」に対抗するモデルとして投入されたものだったが、スタイリッシュさと高級感ではほぼ同格、価格は大幅に安いという2ドアのシボレー「ボルト」とほとんど変わらないという評価に終わった。
今年1~6月のELRの販売台数は、わずか500台余り。2015年の年間販売台数も1,000台を少し上回る程度だった。