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2016.07.27

銀行を変えるブロックチェーンのVault OS、導入は広がるか 元グーグル社員が開発

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ブロックチェーンの重要な要素といえるのが、安全でオープンな勘定元帳システムである点だ。誰もが常時、行われている取引の内容を知ることができる。つまり、取引者が互いに監視し合い、さらにその取引の情報が暗号化されていることで、改ざんなどの不正はできない。そして同時に、迅速な取引が可能だ。

一方、ボールトOSのコンセプトはシンプルだ。クラウドベースのボールトOSでは、取引は互いに関連していない複数のコンピューターシステムによって行われる。通常のブロックチェーンと異なるのは、央集権型を採用した点。チェーンを直接的に管理する機関がないということも、従来のブロックチェーンのセキュリティーに関する重要な側面の一つだ。

何らかの責任を他者に委ねることは、リスクを嫌う銀行にとっては賭けともいえる。だが、ソートマシーンが提供するものは数多い。

規制要件の順守は維持。その上で、情報技術に関する「ばつの悪い大失敗」をなくし、銀行がカスタマイズした商品を顧客に提供することを可能にする新たな機能をもたらす。

例えば、その他の出費が少なかった月に自動的に返済額を増やすような住宅ローンを組むなど、顧客の要望に応えることを可能にする。ソートマシーンはこの考え方を、色や素材を顧客が選び、オーダーメイドでオリジナルのシューズを作ることができるナイキの「Nike ID」に例える。

テイラーとモンゴメリーは、銀行にボールトOSの導入を説得するのは難しいことだと承知している。だが、銀行業界が直面している危険度の高さを考えれば、今こそこうした「移行」を実施すべき時だといえるだろう。

編集 = 木内涼子

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