世界各国の銀行業界は実際、最新テクノロジーの導入がその他のどの業界よりも遅れているものの一つだ。そう聞けば、驚く人もいるかもしれない。
もちろん、中には眼球の虹彩の模様をスキャンする「虹彩認証」の導入を検討したり、自動現金預払機(ATM)の利用にスマートフォンのセンサーを使う仕組みを導入したりしている銀行もある──素晴らしい技術だ。だが、これらは銀行業務の本質を変えるものではない。
銀行にとっての問題は、そのインフラなのだ。インフラを支えるハードウェアもソフトウェアも、何十年も前の古いもので、フランケンシュタインとミイラを一緒にしたように継ぎはぎだらけだ。そして、ひどく傷んでいる。
今年2月には、バングラデシュの銀行がマルウェアを使用したサイバー攻撃を受け、約8,100万ドル(約84億4,000万円)が不正に送金される事件が起きた。このとき攻撃を受けたのは、「国際銀行間通信協会(SWIFT)」が運営する“年老いた”銀行間ネットワークだ。
犯行グループは、バングラデシュの銀行がニューヨーク連邦準備銀行に保有する口座のSWIFTコードなど関連の情報を入手。アジア地域の銀行にある自分たちの口座に不正に送金した。高度な技術を必要とする手口ではなかった。
銀行向けの最新のオペレーティングシステム
音声認識システムや「アドセンス(Adsense)」など、高度なソフトウェアを作成してきたテイラーとモンゴメリーは約2年前、「ソートマシーン(ThoughtMachine)」を立ち上げた。50人ほどのエンジニアたちと共に、「ボールト(Vault)OS」と名付けたプラットフォームを開発。将来も使い続けることができ、柔軟性のあるブロックチェーンを銀行業界に導入することを目指している。