ビジネス

2016.07.05 09:00

IBM、がん撲滅プロジェクトに認知型コンピューター「ワトソン」を寄付


ワトソンによる解析はコンセプトにおいて、DNAのシークエンシングを行う企業、ファンデーション・メディシン(Foundation Medicine)やナントヘルス(NantHealth)などと、そう大きく異なるものではない(これら2社がVAから送られてきた患者のサンプルを基に腫瘍のDNAシークエンシングを行い、その後ワトソンがそれらの解析を行う)。IBMはこのサービスを、数十の病院との共同研究の一環として、販売または提供しているという。

これはムーンショット計画のようなプロジェクトが、各企業や機関を結びつけ、また各企業にインセンティブを提供して技術をより幅広く利用可能にすることで、何を達成し得るかを示す素晴らしい例だ。だが同時に、短期間のプロジェクトの限界も示している。

今回のVAとワトソンの協力は、腫瘍のDNAシークエンシングが実際に人命を救えることを証明する新たな医学的証拠をもたらすものではない。また、退役軍人以外のがん患者の、新たな情報や治療へのアクセスを改善するものでもない。ワトソンがこの任務において、どれだけ“有能”なのかを示すものでもない。

がん撲滅ムーンショット計画のような取り組みにおいては、大々的な宣伝に実態を伴わせるのが難しい。それでもこうしたプロジェクトによって、がん撲滅の取り組みをほんの少し前進させることはできる。

編集=森 美歩

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