ブレグジットは、EUの基盤に大きな亀裂が入っていることを明らかにしたといえる。この決定が今後、域内の政治、そして通商政策にどのような影響を及ぼすかは不透明だが、そうしたなかで市場はすでに、次の“犠牲者”に関心を向け始めている。
「フレグジット」に「デグジット」?
英国に次いでEUからの「エグジット(離脱)」を選ぶ可能性があるのはどの国だろうか?
フランスではマリーヌ・ルペン党首率いる極右政党の国民戦線が離脱の是非を問う国民投票の実施を主張。デンマークやスウェーデンでも、同様の動きがある。「フレグジット」や「デグジット」といった言葉が市場に混乱をもたらすようになるかもしれない。
今後に向けた最大の不確定要素は域内の政治だが、加盟各国の信用格付けの引き下げの問題もある。格付けが引き下げられれば、さらに否定的な見方が広がり、各国の信頼性に傷が付く。
マクロ経済を専門とする調査会社、米ニュージャージー州に拠点を置くブレトン・ウッズ・リサーチ(BWR)のエコノミストはこれに関連して、「英国以外の加盟国も離脱し始めれば、ドイツがより多くの財政的な負担を強いられることになる。そうなれば、ドイツ国民は一体どこまでEUに関心を持ち続けることができるだろうか?」と域内の経済に関する懸念を示している。
各国内の“分離派”にも追い風
一方、英国では内部にも分裂の火種が残されている。イングランドとウェールズでは今回の国民投票で、多くが離脱を支持した。だが、北アイルランドとスコットランドは残留派が勝利。国内において、分離・独立の是非を問う国民投票の実施が呼びかけられる可能性がある。