SNS運用を丸投げする会社は潰れる 「ソーシャルの掟」著者の視点

ソーシャルビジネスの専門家のクララ・シー (Photo by Thos Robinson/Getty Images for WIRED)


同書には、ウェルズ・ファーゴやフィットビット、ワービーパーカーなどの企業のケーススタディが多く紹介されている。中でも興味深いのが、生命保険会社のジョン・ハンコックの事例だ。

同社は保険会社として初めてウェアラブル端末の健康データを活用。データを提供した顧客らに保険料割引を適用し、顧客接点の強化に成功した。同社はプログラムへの参加を促進するために、加入者にフィットビット端末を提供している。契約者がマイルストーンを達成すると保険料が二桁パーセント割引きされるほか、ギフトカードが贈られたり、提携ホテルに特別価格で宿泊することができる。

ソーシャルには社内の全員参加が必須

シーは、フォーチュン誌の「世界で最も影響力を持つ女性起業家」、Fast Companyの「テクノロジー分野における最重要人物」、フォーチュン誌とアドエイジが選ぶ「40歳未満の注目すべき40人」にも選出。さらに、世界経済フォーラムで「ヤンググローバルリーダー」にも選ばれた。

彼女はスタンフォード大学でコンピュータサイエンスの学士号と修士号を取得し、オックスフォード大学でインターネット研究の修士号を取得している。独立する前は、グーグルやマイクロソフト、セールスフォースでエンジニア、プロダクト開発、マーケティングなどの職種を経験した。

「デジタル化が普及する前は、営業担当者は営業だけに、カスタマーサービスのスタッフはカスタマーサービスだけに従事していればよかったが、これからはそうであってはならない」とシーは話す。

「営業担当の方にもこの本のすべての章を読んでもらいたい。マーケティングやカスタマーサービスなど、他部署で起きたことが営業部門をはじめ、全社に影響を及ぼすからだ」と彼女は話す。また、業種を問わず仕事のあり方が変化している中で、デジタルスキルを向上することは個人の価値を高めることにつながることも強調している。

シーによると、全社をあげてソーシャルやデジタルの取組みを強化することで、長期的に見込み客の獲得やウェブサイトのトラフィック向上、生産性の向上、問題解決の時間短縮、ブランド共感度の向上、売上高の増加などが達成できるという。

「デジタル化によってあらゆる障壁が取り除かれ、顧客は企業との全ての接点においてシームレスなユーザー体験を求めるようになった」とシーは述べている。

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事