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2016.05.08

アルツハイマー病のリスク低減のためにできること、本当に有効な対策とは?

Monkey Business Images/shutterstock

アルツハイマー病の最大のリスク要因は、加齢と遺伝的素因だ。つまり、誰でも年齢を重ねるにつれてリスクは高まり、遺伝的変異のある人も高いリスクにさらされている。しかし、自分でコントロールできないそれらの要因とは別に、私たちの活動やライフスタイルの中に、良くも悪くもリスクに影響を与える要因がある。

研究によって、異なる複数の要素がアルツハイマー病と関連づけられている。それらの要素が原因で、脳内に原因物質が蓄積されるということではないかもしれないが、少なくとも蓄積されるスピードや、蓄積が引き起こされる年齢、私たちがそれに対処する能力には影響を及ぼす可能性がある。

複数の研究で明らかになった、「アルツハイマー病を発症するリスクに影響を及ぼす可能性がある要素」を紹介する。“特効薬”はないが、できる限り実行すれば長い目で見て効果があるかもしれない。

食生活

特定の食べ物がアルツハイマー病のリスクを軽減できるかどうかは、はっきりしていないが、総合的な食生活は影響がある可能性がある。例えば、米国医師会が発行する医学雑誌「The Journal of the American Medical Association」で発表された新たな研究では、遺伝的素因を強く持つ人であれば、水銀含有量に関係なく魚全般がリスク軽減と関連があることが示された。

一方で一部の研究者は、どのような人であれ、特定の食べ物が単体で発症リスクに影響を及ぼすことを示す、説得力のある証拠はないと言っている。

とはいえ、長い目で見た場合、総合的な食生活は、少なくとも症状の度合いや発症時期に影響を及ぼす可能性がある。実際、手軽で健康的だとして高く評価されているMIND食事法の主な目的は、認知症のリスク軽減だ。2015年に米ラッシュ大学の研究者が行った調査では、MINDを約4年半にわたって忠実に実行した人は、認知症のリスクが50%以上減少。ほどほどに実行した人でも35%減少した。

MINDで積極的に摂取すべきとしている食べ物は、葉物をはじめとするあらゆる野菜、ナッツ類、ベリー類(特にブルーベリー)、豆類、精白していない穀類、魚、鶏肉、オリーブオイルと少量のワイン。避けるべきは、赤身の肉、バターやマーガリン、チーズ、菓子パンやその他の菓子類、揚げ物またはファストフードだ。

心臓に良いとされるDASH食事法と、認知力の低下やアルツハイマーの進行のリスク低減に関連があるとされている、地中海食事法を組み合わせたものだし。しかし推奨されている食べ物が単体で、アルツハイマー病のリスク低減に効果があるかどうかは明らかになっていない。魚やブルーベリーだけを食べて、そのほかの努力をしなかった場合には、あまり効果は見込めないだろう。
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編集=森 美歩

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