一方で、ミレニアル世代が重視するデジタルの分野においては、VSは優秀だ。ピンタレストやYouTube向けのコンテンツを積極的に制作し、モバイル機器からも見られるようにしている。しかし、その大部分がライフスタイルではなく商品のプロモーションなのは問題である。
多くの小売業者はこの重要な違いがまだ分かっていないが、ミレニアル世代に言わせれば「ブランドには私の手助けをしてほしい。不要な投稿でフェイスブックのタイムラインを汚してほしくはない」ということだ。VSはミレニアル世代の特性に合わせて“ライフスタイル”や“経験”に重きを置く必要がある。
ではVSのカタログや販売戦略の転換は、終焉の始まりを意味するのだろうか? 現時点では大丈夫、というのがその答えだ。だがもしブランドのオーナーであれば、アバクロンビー&フィッチの二の舞を避けるために次のような措置をとるべきだ。
・セクシーに“見える”のではなくセクシーに“感じる”ことを強調する戦略を立てる。
・ブランドイメージに沿った社会的大義を見つける。摂食障害など深刻な問題でなく、VSが得意とするような楽しく、魅惑的なことでも構わない。大切なのはブランドの自然な延長である“本物”であることだ。
・ロゴの強調をやめて、個性を強調する商品づくりをする。ミレニアル世代がブランドに求めるものは画一性や所属感よりも発見である。
・デジタル空間ではもっと、上記の全ての点を強調する“物語”を提示する。
ミレニアル世代が年齢を重ねていくにつれ、より多くのブランドがこうした新たな需要に直面することになるだろう。彼らのトレンドに対して備えができていないのは、どこの企業だろうか。