元々、金融ビジネスとITは切っても切れない関係にある。フィンテックという言葉が登場する前から金融は先進ITテクノロジーを活用する代表的な産業だ。ただ、決済サービスを提供するPayPalや、ソーシャルレンディングを行うLendingClubが登場したことで、「既存の金融ビジネスを破壊するスタートアップ」が注目されるようになっている。
フィンテックを推進する新たなキーテクノロジーは5つ。スマートフォン、ライフログ、クラウド、AI(人工知能)、そしてブロックチェーンだ。これらを金融領域に適用することによって、金融ビジネスに革新的なサービスが登場してきている。
16年2月に発表されたマッキンゼーの調査によれば、フィンテック企業は全世界に2,000社以上存在。同調査では15年4月時点で800社程度と推計されており、約1年で2.5倍に増加した計算になる。
フィンテック企業の提供するサービスも多岐にわたる。主に決済、送金、融資、資産運用、資産管理、セキュリティ、コンプライアンスなどの領域で、様々な革新的なスタートアップ企業がしのぎを削っている。分野別の企業数の正確な統計は存在しないが、前出のマッキンゼーの調査によれば、口座管理・開設が17%、貸付・ローンが19%、決済が40%、投資等が19%となっている。
こうした中でフィンテックへの投資も急激に増加している。CBインサイトのデータをもとにしたアクセンチュアの推計ではフィンテック領域へのベンチャー投資は、13年に40億ドルだったものが、14年にはグローバルで122億ドル、日本円で約1.5兆円に達したと推計されている。実に3倍の規模に増加した。日本でも急激に投資が伸びている分野である。
フィンテックに関して出遅れた感がある日本でも、昨年12月に金融庁が積極的に関与していく方針を打ち出した。また昨年後半以降、大手銀行を中心に日本のフィンテックベンチャーとの提携や出資も活発化している。