フォーブスが入手した捜査令状によると、23歳のアルジャイブ容疑者はテロ集団に武器提供を試みた罪で今年3月、シカゴで起訴されており、2014年にシリアのテロ集団の助けを得て、米国に不正入国した容疑もかかっている。FBIは容疑者の iPhone 6Sとサムスン Galaxy S5に対する捜査を進めている。
FBIはGalaxy S5のロック解除には成功
捜査令状からFBIは既に容疑者のGalaxy S5内のデータを取得し、フェイスブックアカウントの精査も行っている模様。しかし、iPhone 6Sのアンロックには至っていない。
アルジャイブ容疑者の弁護士はフォーブスの取材に対し、「FBIがアンロックに成功したか否かについては把握できないが、FBIが司法省から端末の捜査権限を取得したことは確認している」と述べた。司法省関係者は「容疑者のiPhoneの状況についてはコメントできない」としている。
捜査令状によると容疑者は4つのフェイスブックアカウントを通じ、テロ集団と連絡をとっており、アルジャイブ容疑者は後にイスラム国と合流したテロ集団、アンサール・アル・イスラムのメンバーだった。容疑者は今年1月7日にカリフォルニア州サクラメントで逮捕された。
その後、2月初旬にFBIは容疑者のGalaxy S5のロック解除に成功したが、iPhone 6Sについての記載は無い。
iPhone 5cのアンロックには成功したFBIだが、iPhone 6Sのロック解除にはさらに高いハードルが存在する。6SのTouch ID機能にはSecure Enclaveと呼ばれる高度なセキュリティが搭載され、パスコードと指紋データを保護している。
FBIは容疑者を生きたまま収監しているため、指先をTouchIDに触れさせてロック解除を行う措置もとれたが、容疑者によりTouchIDは無効化されていた。さらに、48時間以内にTouchIDが使用されなかった場合、アップルの端末はパスワード認証を求める仕様になっている。
昨年12月、カリフォルニア州サンバティーノで発生した銃乱射事件容疑者のiPhone 5cを巡る「ロック解除問題」は3月21日、FBIが「アップルの助け無しで解除に成功した」と発表したことで、事態の収束を迎えたかに見えた。しかし、今回新たに浮上したiPhone 6Sのロック解除問題で、事態は新たな局面を迎えたと言える。
FBIは米連邦裁判所の命令で、アップルの「端末のロック解除への協力」を強制することを求めており、連邦裁判所はその審理を3月22日に予定していた。現状は宙に浮いた形にになった司法判断が、今後どのように進むのかにも注目が注がれる。