アップルの傲慢さにはうんざりだ 米テック記者の実感

Anadolu Agency / Getty Images

アップルが3月21日に行った9.7インチiPad Proの発表は、後味の悪い印象を残した。プレゼンの場で筆者が最も気になったのはフィル・シラー上級副社長の次のような発言だ。

「現在、世界には5年以上前のPCが6億台以上もあります。これは本当に悲しいことです」と彼は語ったのだ。

伝説的なスティーブ・ジョブズのプレゼンに比べると、今のアップルのプレゼンには緻密さが感じられない。ジョブズ時代のように、全ての言葉や言い回しを計算しつくしていたならば、こんな発言は出なかったはずだ。

シラーは製品をアップグレードしないユーザーは「悲しい存在」だと言った。iPhoneの売上が伸び悩むなか、アップルの苦境も理解できるが、ユーザーが所有する製品の古さをバカにするのはおかしなやり方だ。

アップルには下取りサービスのアップグレードをさらに推進する方向もあるし、iPhone Upgrade Programを拡大し、型落ちしたiPhoneを対象に含めるといった施策もとれる。

しかし、シラーはiPad Proを「古いPC」に取って代わる新しい存在に位置付け、古いPCを使うユーザーを見下し、からかったのだ。

筆者のMacBook Proは2011年の初めに購入したものなので、シラーの基準である5年以上前のものとなり、悲しきMacBookとされるだろう。だが、筆者のMacはメモリを追加し、ハードディスクを交換し、埃を取るためにクリーニングをして快適に動作している。

だがそういった努力は新しいMacBookやiPadを持っていれば必要ないわけだから、デバイスを買い替えろと言うのだろうか。

筆者にはアップルがこう言っているように聞こえる。我々は天下のアップルである。我々は新しくクールである。あなたはアップルではない。あなたは新しくもなくクールでもない。あなたのPCは古いからだ。

これを読んだみなさんはどんな印象を持っただろうか。

編集=上田裕資

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