谷本:マリアさんは8年前、スペインから単身で渡米されたそうですが、どうしてアメリカに行くという決断をしたんですか。
アレグレ:当時はバルセロナのビジネススクールにいましたが、アメリカに留学したいと思ったのは、アメリカ人はビジネス経営のエキスパートであり、グローバルビジネスを展開する力があると感じていたからです。そこで、私はミシガン州で1セメスター交換留学をすることに決め、テクノロジー会社やシリコンバレーについて学びました。
シリコンバレーについて非常に魅力的に思ったことの一つに、テクノロジーがあれば会社を始めることができ、それが成功すれば、世界に影響を与えることができ、短い期間に事業を150か国に広げられる、ということがあります。
もしハードウェアやサービス業界であれば、こんな風に会社を成長させるのはもっと困難でしょう。魔法のように、世界を変えられる。それができるのはテクノロジーだけであり、それをやるのに一番ふさわしいのはシリコンバレーだと感じました。
谷本:渡米した時点で起業も考えていたのですか。
アレグレ:私は常に起業したいと考えていました。子供の頃から、毎年夏になるとアイディアが浮かんできて、ジュエリーや新しい飲み物など、様々な製品を作り、小さなビジネスをしていました。お客さんは家族や友だちでしたが。
谷本:これまで起業してきた中で、最も嬉しかったことと、苦しかったことは何ですか。
アレグレ:喜びと苦痛はつながっていると思います。とりわけ起業家にとって、新しい土地へ行って知っている人がいない時、最初に直面する困難は良いチームを作り上げることです。何もないところから、共同設立者を見つけて、信頼関係を築き、そしていざ会社を設立したら、今度はチーム作りという困難が待っていた。
しかし、一度チーム作りに成功したら、それは最大の喜びにもなります。良いチームの一員でいることや、尊敬できる人と隣り合わせで働くことができることはパワフルです。私にとって、チームを築くということは苦しみと最も喜ばしいことの両方です。