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2016.02.18 10:30

米・石炭発電の新規制、連邦最高裁が一時差し止め 政権に痛手

stocker1970 / shutterstock

石炭火力発電所の操業を停止させるために「大気浄化法」を持ち出すというオバマ政権の大胆な試みが、連邦最高裁の判断によって暗礁に乗り上げている。ジョン・ロバーツ連邦最高裁長官は先ごろ、新法の施行を一時的に差し止める判断を示した。

新基準の実施については、コロンビア特別区連邦控訴裁判所が今年6月に口頭弁論を行い、同法に基づく規制の合法性について判断を示すことになる。新規制の実施の可否はその判断次第ということになり、オバマ大統領の在任中に実現する可能性はなくなったともいえるだろう。さらに、次期大統領が方向転換を決断する可能性もある。

今回の最高裁の判断によって、オバマ政権が打ち出しているクリーン・パワー・プラン(CPP)そのものにも問題が生じる懸念が出てきたといえる。新規制は同計画の下で各州に対し、2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量の大幅な削減を求めたものだ。

CPPは、「大気浄化法」のうちこれまでほとんど使われてこなかった第111条(d)を取り上げ、発電所の「性能基準」を定めた。これは、実質的には発電所に対して石炭火力発電所の操業を停止し、天然ガスと再生可能エネルギーによる発電に転換することを求める内容となっている。新たな規制導入に反対する各州は、個々の発電所の排出量を規制するのではなく、発電事業全体を根本から変えるための「解釈変更による巧妙なごまかし」だと厳しく批判。ウェストバージニア、テキサス両州のほか25州が実施に反対し、差し止めを求めて訴訟を起こしていた。

連邦最高裁はこれまでにも、オバマ政権が数十年前に成立した大気浄化法を持ち出し、CO2排出量の削減をはじめとした目標の実現を図ろうとするその他の試みを阻止してきた。法律が施行された当時の連邦議会は、現政権が意図する法の適用を考慮していなかったというのがその主な理由だ。ただし、今回の判断についてはリベラル派の判事らが反対に回っていた。

編集 = 木内涼子

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