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フォーブス ジャパン編集部 編集者

Fotoluminate LLC / shutterstock

2025年には国内の認知症患者が700万人を超えると予想されている。だが、遺伝子解析の活用が進めば、そんな悩みも消えるかもしれない。

「認知症」にはいくつかタイプがあるが、最も患者数が多いのはアルツハイマー型。認知症患者の約半数を占める、極めて厄介な病だ。発症したら最後、打つ手はほとんどない。

だが、近い将来、これを未然に防ぐことができるようになるかもしれない。

アルツハイマー型認知症は、脳内に「アミロイドβ」と呼ばれる異常なタンパク質が蓄積されることによって引き起こされる。問題は、アミロイドβが一定量を超えるまで、脳が耐えることにある。脳はギリギリまで頑張り、限界を超えると発症する。その時点で脳内がすでに破綻しているため、根本的な治療法がないのが現状だ。

そこで注目されているのが「発症前」に先手を打つ方法だ。東京大学、京都大学で研究が進んでいる。もの忘れなどの症状がなくても、脳内にアミロイドβの蓄積が始まっているケースがある。こうした初期段階での変化をMRIで捉えられる可能性が出てきた。早期に発見し、早めに投薬すれば、進行を遅らせることが可能だ。

遺伝情報にも期待が集まる。例えば「ApoE4」と呼ばれる遺伝子があると、発症確率が高くなることが知られている。ゲノム解析でApoE4が見つかった場合、食生活や運動といった生活習慣を見直すことで、発症を抑えられる可能性がある。

こうした治療は、いずれも発症前からスタートする。こうした取り組みがいま、「先制医療」として注目されている。

女優のアンジェリーナ・ジョリーは2013年、予防のために乳がん手術を受け、世界的なニュースとなった。ジョリーは自分の遺伝子に、乳がんと卵巣がんの発生を高める変異があることを知り、手術を受けた。これも一種の先制医療だ。

遺伝子解析によって、その人が生まれながらにもつ体質が分かるようになった。それを予防に役立てるための試みが、滋賀県で始まっている。京都大学と滋賀県長浜市が、長浜市民を対象に取り組む「ながはま0次予防コホート事業」だ。

従来の予防医療では、病気にならないように気をつける1次予防が一般的だった。これに対して「0次予防」では、将来的に発病する可能性のある病気の芽を、事前に摘み取ることを目指す。具体的にはゲノム解析に加えて、血液や尿の成分分析などをはじめとする700項目に及ぶ疫学的調査を実施。これに環境・生活習慣の情報まですべてを統合・解析し、その結果にもとづき先手を打つことで病気の発症を抑えようというのだ。

長浜市では07年から1万人の市民が、5年ごとに3回の健診を受ける予定。ここから導き出された知見は、今後の先制医療を大きく進化させるはずだ。


先制医療

超高齢社会に突入した日本では、膨張する医療費が国家財政を圧迫。国を破綻させかねない状況だ。医療費削減には病人を減らすことが一番。そうした中で先制医療に期待が集まっている。

文 = 竹林 篤実

 

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