『スター・ウォーズ』関連グッズの売上は年内が約30億ドル(約3,628億円)、2016年は50億ドル(約6,046億円)が見込まれ、総額ではほぼ1兆円規模になる。ディズニーは9月に「フォースフライデー」と銘打ち、グッズの発売を解禁した。
Adobe Digital Indexのシニアアナリスト、ジョー・マーティンによると、米国のホリデー商戦の初日である「ブラックフライデー」(11月27日)には「フォースフライデー」を46%上回る売上を記録。Adobeの調べでは、9月から11月にかけて関連グッズを販売するウェブサイトには1,500万ものアクセスがあったという。
人気のほどは今年の「ブラックフライデー」で3番目に売れた玩具が『スター・ウォーズ』のレゴだったことからもうかがえる。商品展開の幅も広い。Covergirlの「ダークサイド・マスカラ」、Kay Jewelersの「ストームトルーパー・ネックレス」などは、従来のメインファン層とは異なる若い女性がターゲットだ。ファストファッションのフォーエバー21もスウェット上下などを展開している。
グッズ販売好調を支えるソーシャルメディア
「70年代後半、シリーズ1作目の公開時から『スター・ウォーズ』シリーズはエンタテインメント業界における大規模なライセンスビジネスであり続けてきました」と、国際ライセンシング・ビジネス協会(LIMA)のマーティ・ブロックスタインは語る。「とはいえ、最新作を取り巻く活気はかつてないレベルです。他の大作シリーズでも見たことがありません」
ディズニーは情報を着実に小出しすることでファンの期待を煽ってきた。10月9日にはディズニー傘下のESPNのNFL中継「Monday Night Football」において映画の予告編を初公開。ソーシャルメディア上にはそれに関する投稿が30万件近く並んだ。その後ディズニーは「ブラックフライデー」に向け、ポスター、インターナショナル版予告編、TVスポットを次々に披露していった。
『スター・ウォーズ』に関する約600万件もの投稿を追跡したAdobeのマーティンは、「成功はどれだけソーシャルメディアで言及されるかにかかっています。そのためにはコンスタントに話題を提供し続けなければいけません」と語る。「私の知る限り、ディズニーが映画の公開前にこのような形で関連商品を売り出したのは今回が初めてです」
稼ぎ頭は『アナ雪』から『スター・ウォーズ』へ
『スター・ウォーズ』によって最も稼いでいるのは誰か。ライセンス商品を手がけるブランドの中では、ゲーム「Star Wars バトルフロント」の発売元であるエレクトロニック・アーツと同ゲームのPS4の権利を持つソニー、レゴが利益を上げている。Adobeによると、ソーシャルメディア上ではゲーマーの関心が特に高く、10月から11月のゲーム発売日までの間、55万件の投稿があった。
もちろん一番の勝者はディズニーだ。同社は2012年、シリーズの生みの親であるジョージ・ルーカスが率いるルーカスフィルムを40億ドル(約4,838億円)で買収。その翌年には玩具メーカーのハズブロと2億2,500万ドル(約272億円)に上るといわれるライセンス契約を結んだ。またディズニーには、関連グッズのライセンス料や最新作の興行収入の他に、現在再び注目を浴びているシリーズの過去6作品のDVDおよび配信の売上もある。
ソーシャルメディアの動向を見る限り、『スター・ウォーズ』旋風がしばらく続くことは明らかだ。封切日までの90日間、映画に登場するキャラクターの中で最も言及数が多かったのはダースベーダーで、59万件もの投稿があった。次点はBB-8で、51万3,000件。これらの数字は今後ますます増えるだろう。
10月3日に終了したディズニーの2015事業年度の売上は、前年度比7%増の525億ドルだった。映画や音楽の製作、配給などを行うスタジオ・エンターテインメント部門の収益が1%増であったのに対し、ライセンシング事業やディズニーストアを運営するコンシューマ・プロダクツ部門は『アナと雪の女王』関連商品のヒットにより13%増を記録している。だが『アナ雪』の時代はここまで。これからは『スター・ウォーズ』が同社の稼ぎ頭になる。