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2015.12.17

2016年の小規模ビジネス、融資の行方は?

isak55 / shutterstock

高金利になると小規模ビジネスの起業家が融資先を探すのに有利になるだろう。なぜか?

金利が高い間に大手銀行が小規模ビジネス向けに融資をすると、ポートフォリオの見栄えが良くなるのだ。最新のBiz2Credit Small Business Lending Indexによると、大手銀行に対する融資申し込みの通過率は不況を脱して以来最高の22.8%をマークした。もし12月に開催されるアメリカ連邦準備制度(FRS)の会合で金利引き上げが承認されれば、大手銀行にとって小規模ビジネスへの融資は一層魅力にうつる。利上げになれば、融資通過率は25%まで上昇する可能性もある。

また、小規模ビジネスの融資について機関投資家が果たす役割は増している。11月の融資申し込みに対する承認率は62.4%にまで上った。一方で、小規模銀行や信用組合の融資率は下がっている。小規模銀行は、今や申込みのあった半分以上の融資を断っている状況だ。

銀行は融資が減れば、それだけ収益も少なくなる。地方銀行を取り巻く競争は激化する一方だ。大手銀行や機関投資家たちは、インターネットの市場融資プラットフォームを利用できるという利点を活かして、借り手にとってより良いレートを提供しながらスピーディな決断を重ねて勢いをつけている。

市場の融資プラットフォームやそれに関わる金融機関の投資対効果は高くなっている。Biz2Credit によると、融資申し込みの半分以上が携帯端末から行われた。小規模銀行や信用組合などでは技術的な設備投資が進んでいないため、申込み手続きだけで長い時間を要することが多い。信用組合にいたっては、融資申し込みを希望する人は窓口に行き、会員になることが求められるケースがほとんどだ。起業家の側は、いつでも動きをとりたい。実際、仕事が終わってから、また週末に金融取引をする人が増えており、銀行の営業時間内に取引する起業家は減る傾向が顕著だ。

融資を申し込む経済的背景
ガソリン価格などの値下げにより、アメリカ人の消費は増えているが、その方法は一昔前と異なる。消費者がお金を費やすのは何か?人々はモノを買うより、経験にお金を使いたいと考えている。旅行やレストラン、ホテルなどが活況をあげているのはそのためだ。人々が集まる観光地では建設業も勢いがあり、IT企業は底堅い成長をみせる。


今後の行方
機関投資家は小規模ビジネスへの投資リターンを求めている。大手銀行も同様だ。実際に、大手銀行は以前ではあまりなかった規模―10万ドルから25万ドル(1,220万円から3,000万円)-の投資にも舵をきっている。それらの投資を通じて、大手銀行は小規模ビジネスからのリターンを期待できるのだ。

こうした取引において、人間関係は前ほど重視されなくなり、ミレニアル世代にとってロイヤリティは過去の産物だ。彼らには銀行との10年来のつきあいは存在しない。ミレニアル世代はベストの取引を、とにかく早く決めたいのだ。携帯端末は、ビジネスにとって必要不可欠のアイテムとなった。昔の銀行システムは、ATMでの取引に慣れた世代にとって意味をなさなくなり、今やスターバックスで一杯のコーヒーを飲むのにも現金でなくクレジットカードを使っているのだ。そう考えると、彼らがスマートフォンでビジネス上の取引をすることも全く驚愕に値しない。

これからは、銀行の統廃合の動きにも注目だ。かつての大手銀行は、支店の多さで他より優位に立つことができた。今や状況は異なる。小さな銀行は吸収され、新しくできるとすればよりスケールの小さい銀行だろう。土地代のかかる支店は高コストで時代の流れに見合わなくなってきている。

これまで技術投資をしてこなかった銀行は淘汰されるだろう。もしくは、インフラに余裕のある大手銀行の大きなネットワーク下におかれる可能性もある。銀行業界の再編の動きからも目が離せない。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

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