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I cover entrepreneurs and small business, with a focus on financing.

Claudio Divizia / Shutterstock

1999年、マーク・ヘネガンはニューヨークのブルックリン地区に南アフリカ料理専門店であるマディバ・レストランをオープンした。ニューヨーク初の南アフリカ料理店として、サモサや牛テールシチュー、ケープタウン名物のボボティなど、伝統的な南アフリカの味が味わえると評判を呼び、多くの人が足しげく店に足を運んだ。

ヘネガンにとって、レストランは南アフリカ文化を伝承できる貴重な場所であり、愛情をもって仕事に打ち込んできた。そのレストランが、高金利や財政状況の悪化により多額の負債を抱え、閉店の危機に直面している。ヘネガンは店を続けるため、寄付を呼びかけている。Indiegogoでクラウドファンドを募り、11月中の目標を20万ドル(2,400万円)に設定した。200ドル寄付した人には1年間食事代を10%割引で提供し、2,000ドルだと2年間25%割引になるのに加え全5品の夕食コースをプレゼントするという。財政状況が極限まで悪化し、寄付がなければこの冬を乗り越えるのすら不可能だという。「マディバ(レストラン)を失うと思うだけで、胸がはちきれそうだ」。

損失や試練がドミノのように重なり、結果このような状況に至った。過去、ヘネガンはマイアミとノースカロライナ州のアシュビルにあった2つのレストランを失った。マディバを存続させるために、ヘネガンは20万ドル(2,400万円)の借金をした。納税を巡って問題も抱えた。ここ7年間は大家とリース契約を結ぶことができないでいる。投資者を呼び込むことも不可能だった。それはまさにブルックリン流の洗礼だ。家賃を払えるものはそこにいることが許されるが、払えなくなったら出ていく他ないのだ。

経営が順調だったころ、レストランは1年で180万ドル(2億1,900万円)の売り上げがあり、そのうち8%から10%が利益として残った。しかし借金がふくらんだ今、どれだけ店がにぎわい、人々がどんなにお金を使っても、借金返済のためのキャッシュは足りず、他の請求書を払うこともできない。「マディバは私にとってただのレストランじゃないんだ」と話すヘネガンは涙をこらえることができなかった。

ヘネガンはダーバンで生まれ、1980年代にポケットに500ドルだけもってニューヨークへやってきた。レストランでウェイターやバーテンダー、料理人として働いて貯めた1万ドル(122万円)の資金で、自分のレストランをオープンした。南アフリカ初の黒人大統領であるネルソン・マンデラへのトリビュートの意味も込めた。「国として機能不全に陥っていた南アフリカで育ったからこそ、私はアメリカに来たんだ。マディナは私にとってのアメリカン・ドリームだった」とヘネガンは振り返る。オープン以来、レストランは様々な賞を受賞し、グルメ雑誌のアメリカのベスト・レストラン50に選ばれたこともある。リチャード・ブランソンやローマ教皇など著名人が訪れたこともあった。

昔はみんな気楽に経営をしていた。「当初ニューヨークで店を始めたときは許可などとっていなかったし、南アフリカからの不法移民を雇っていた。マニュアル本には決して載っていないような、アウトローのやり方だったよ」。しかし、ヘネガンは「レストランがコミュニティの発展に役立つよう常に考えてきた。白人も黒人も、自由に交わえる場を作りたかったんだ」と力を込めて語った。ヘネガンは、レストランが政治色を持つこともいとわなかった。先進的な政治を歓迎する店内では、オバマ大統領が支持され、ドナルド・トランプ氏は入店お断りだ。社会貢献活動として、地域の学校や教育基金への援助もしてきた。

しかし、借金によって苦境に陥った。ヘネガンは高利貸しの格好のカモになったと言う。おおよそ30%の金利が毎週銀行口座から引き落とされているのではないかと考えている。資金繰りが苦しくなって、高利で借りるしか選択肢が残されていないと思ったが、今思えばそれは絶望の末の誤った選択だった。

ヘネガンの残された希望は、借金返済の目途をつけレストランを続けられるのに十分な資金をクラウドファンドで集めることだ。もし良い投資家が見つかれば、経営権を半分譲り渡す用意もあるという。決してマディバを閉店させたり、長年慣れ親しんだ地元を離れたりしたくない。「もう半年早くこうして(寄付を募って)おけばよかったが、人に何かを頼むのが得意じゃないんだ」。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

 

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