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I write about entrepreneurial ecosystems around the world.

Jon Feingersh / gettyimages

起業しやすい都市トップ10にはいくつかの驚きが潜んでいる。ブライトン・ビジネススクールのリチャード・マディソンは、様々な評価基準を駆使して、まずは起業しやすい国を選び出し、そこからその国でもっとも起業しやすい都市を絞り込んでいった。

Seedstars創業者のアリゼー・デ・トナック(Alisee de Tonnac)氏に、それぞれの都市がどのように起業に適しているのか、お話を伺った。


北京

中国には、起業を支えようという文化がない。いまでも若者の人生は両親に厳しく決められており、昔ながらの職業に高い価値が置かれている。しかしながら、状況は変化しつつあり、サクセスストーリーが増えてくるにつれ、ゆっくりとではあるが、アントレプレナーシップも人気のキャリアパスになりつつある。中国はまた、ハイエンド、ハイマージンの先進的製造業に力を入れている。「メイド・イン・チャイナ」はいまや、低品質の安物の代名詞ではないのだ。

中国にはスタートアップ企業向けの免税プログラムがあり、失業者もしくは大学卒業者が設立した企業には、最大で年間9,600人民元(約1,500米ドル)の税金控除が与えられる。

中国では今年の初頭に、65億米ドル相当のベンチャーキャピタルファンドが設立された。シードステージのスタートアップを対象としている。また、中国科学技術部管轄の「トーチ・プログラム」のもと、少なくとも1,500のインキュベーターが存在している。トーチ・プログラムとは、ハイテク企業を対象に、産業政策・投融資・コンサルティングサービスを提供する、すでに27年の歴史を誇る政策である。

(Seedstarsの上海でのビジネスコンペの2015年優勝企業はBitnexo社だった。同社は、Bitcoinを利用した、中国・ラテンアメリカ間の国際送金サービスを行っている)


クアラルンプール

マレーシアの生活コストはシンガポールに比べても相当に低い。従って多くのスタートアップ企業は、タイやマレーシアに居住しながら、スタートアップに投資する機関が官民問わず豊富にあり、会社設立もしやすいシンガポールで設立しているのである。

スタートアップ企業がマレーシアを好むもう1つの理由は、ここがテストマーケットとして優れているからであり(市場規模はシンガポールより大きい)、さらに3つの民族が混在しているからである。だからマレーシアで成功できれば、中国人、マレー人/インドネシア人、そしてインド人の市場でも成功できる可能性が高い。

(Seedstarsのクアラルンプールでのビジネスコンペは12月2日に開催された。)


ワルシャワ

ポーランドは国内市場が大きく、起業実績も豊富だという点で、チェコ共和国やスロバキアに比べても有望である。ワルシャワの成功事例には、Allegro(最終的にはNaspersに20億ドルで売却)、Wirtualna Polska、Onet、 LiveChat(IPO)、Nasza Klasaがある。ワルシャワはハイテク外資も引きつけており、Googleは今年の末までにワルシャワでキャンパスをオープンする予定だ。政府も積極的だ。ワルシャワ市はBitspiration(ポーランド最大かつ最も西洋的なスタートアップ企業向けのカンフェランス)のメインスポンサーである。この国の主要なハブ地域には、ワルシャワ、クラクフ、グダンスク、ヴロツワフがある。




起業しやすい世界の都市トップ10

1位 中国
スタートアップのハブ都市:北京、深圳
インターネットの普及率と速度:46.0%、3.2Mbps
企業登録費用(外国人向け):1ドル
付加価値税:17.0%
法人所得税:25.0%

中国最大の都市、北京は、中国の映画産業、金融、ハイテク、政治権力の中心地である。こうしたさまざまな産業が一つの都市にまとまっている北京は、世界でも有数のスタートアップのハブ都市としていまや開花寸前である。


2位 マレーシア
スタートアップのハブ都市:サイバージャヤ、クアラルンプール
インターネットの普及率と速度:67.0%、5.0Mbps
企業登録費用(外国人向け):350ドル
付加価値税:6.0%
法人所得税:23.0%

国民戦線(与党連合)下のマレーシア政府による、国民所得上昇を目指す取り組みの結果、経済変革プログラム(ETP)でテクノロジーが大きな役割を果たすこととされている。


3位 ポーランド
スタートアップのハブ都市:ワルシャワ、クラクフ、ポズナン
インターネットの普及率と速度:65.0%、16.0Mbps
企業登録費用(外国人向け):280ドル
付加価値税:23.0%
法人所得税:19.0%

クラクフで行われたStartup Stageの月例会では、シリコンバレーのベテラン・アントレプレナー、タイラー・クロウレー氏が、基調講演を行った。この講演で氏は出席者に、クラクフのスタートアップ企業コミュニティを示すハッシュタグを作りなさいと訴えかけた。こうしてハッシュタグ#omgkrkが誕生、クラクフのスタートアップ・コミュニティが形を表したのだった。


4位 ロシア
スタートアップのハブ都市:モスクワ
インターネットの普及率と速度:62.0%、8.6Mbps
企業登録費用(外国人向け):350ドル
付加価値税:18.0%
法人所得税:13.0%

2009年、ニュービジネスとイノベーションの活性化をねらうロシア政府による取り組みであるスコルコヴォ基金(Skolkovo Foundation)がモスクワに設立された。これは、1,000エーカーのイノベーションセンターでアントレプレナーシップを育み、これまで天然資源頼みだったロシア経済を、よりテクニカルな研究や教育を重視したものに転換していこうとするものである。


5位 インド
スタートアップのハブ都市:バンガロー
インターネットの普及率と速度:25.0%、1.0Mbps
企業登録費用(外国人向け):400ドル
付加価値税:4.0%
法人所得税:34.0%

3,100社ものスタートアップ企業を抱えるインドは、すでに世界第3位のハイテク国家であり、バンガローはそのIT面での首都である。しばしばインド版シリコンバレーと称されるバンガローは、この人口12億人の、めくるめく多様性の国のテクノロジーの心臓部でもある。バンガローにはスタートアップ企業の28%が本拠を置いており、これはニューデリーの24%をしのぐ。


6位 オーストラリア
スタートアップのハブ都市:シドニー、メルボルン、ブリスベーン
インターネットの普及率と速度:82.3%、6.0Mbps
企業登録費用(外国人向け):457ドル
付加価値税:10.0%
法人所得税:28.5%

シドニーのスタートアップ企業支援組織SydStartでは、地元のアントレプレナーに対する支援、リソース提供、コミュニティを提供している。SydStartがシドニーで毎年開催しているスタートアップ企業向けカンフェランスでは、1,000名のアントレプレナー、ディベロッパー、イノベーターが、互いに学びあい、コラボレーションを展開している。


7位 チュニジア
スタートアップのハブ都市:エル・ガゼラ、チュニス
インターネットの普及率と速度:50.7%、4.0Mbps
企業登録費用(外国人向け):250ドル
付加価値税:18.0%
法人所得税:30.0%

チュニジアはヨーロッパに地理的に近いことが強みになっている。現地よりも高い給与水準の求人をチュニジア人に提供できるからだ。チュニジアにとって起業が比較的新しい現象であるという強みもある。チュニジアの起業家はまだ第1世代であり、手つかずのプロジェクトや可能性が開けているのだ。


8位 イギリス
スタートアップのハブ都市:ロンドン
インターネットの普及率と速度:87.0%、15.0Mbps
企業登録費用(外国人向け):22ドル
付加価値税:20.0%
法人所得税:25.0%

イギリスの首都ロンドンは、「最も影響力のあるスタートアップハブ」で世界第7位にランクされており、ヨーロッパや米国への進出にも適した立地が強みとなっている。さまざまな側面でリーダー的存在であるロンドンは、最高のイノベーター、クリエイター、ビジネスリーダー、投資家を引き寄せてやまない。


9位 エジプト
スタートアップのハブ都市:カイロ、アレキサンドリア
インターネットの普及率と速度:44.1%、2.8Mbps
企業登録費用(外国人向け):200ドル
付加価値税:10.0%
法人所得税:25.0%

カイロのスタートアップ市場はこの10年、静かに拡大してきたが、イノベーションといえる成功事例はほとんど見られなかった。しかし、それがここ数年で爆発している。2011年の革命でエジプトにも自由の扉が開き、これまでには考えられなかったようなチャンスをアントレプレナーに提供するようになっているのだ。


10位 ブルガリア
スタートアップのハブ都市:ソフィア
インターネットの普及率と速度:56.7%、- Mbps
企業登録費用(外国人向け):200ドル
付加価値税:20.0%
法人所得税:10.0%

ベルリンの影に隠れてはいるが、ブルガリアのスタートアップシーンもシード投資と、南東ヨーロッパのスタートアップ企業のハブになりつつある。LAUNCHubは900万ユーロのファンドを立ち上げ(EU資金も含む)、ソフィアのスタートアップ企業に、投資だけでなく、6〜9か月のアクセラレート・プログラムを提供している


編集 = Forbes JAPAN 編集部

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