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世界37カ国、700万人が愛読する経済誌の日本版

3Dsculptor / Shutterstock

ヒットしそうなアイデアがあるのに、どうすれば製品化できるかがわからない――。研究者や学生、趣味で機械工作などをしている読者のなかには、そんな人もきっといることだろう。宇宙開発企業「アクセルスペース」の中村友哉CEOもその一人だった。
「まずは資本金を増やすべきです。大企業を相手に億単位の商品を売り込むのに、100万円は少なすぎますよ」

スタートアップ支援組織「TXアントレプレナーパートナーズ」(TEP)のエンジェル投資家、村井勝からそう言われたのは、中村が超小型人工衛星を開発する事業を始めて2年目の2009年のことだ。東京大学大学院で博士号を取得した中村は、「せっかく築き上げてきた超小型衛星技術を教育にしか使わないのはもったいない」と思っていたとき、大学発ベンチャー支援制度の採択と重なったこともあり、起業家の道を選んだ。

ところが、彼は顧客開拓や経営管理で大苦戦する。起業はしたものの、創業メンバーの3人は全員が技術者。ビジネスの現場の感覚がつかめず、なかなか仕事が取れなかったのである。彼は、創業初期をこう振り返る。
「ふつうのスタートアップだったら潰れていたと思います。TEPのエンジェル会員に資金面だけでなく、経営面でもサポートしてもらったのです」

中村はTEPにアントレプレナー会員として入会することで村井と出会うことができた。創業メンバーの自己資金やエンジェル会員の出資のもと、資本金を3,000万円まで増資したのは、それが「大企業が相手にする最低レベル」と村井から教えられたからだ。そしてそれは、事業を拡大するためにベンチャーキャピタル(VC)から資金を調達することを可能にした。アクセルスペースは今秋、日本ではまれなシリーズAで19億円という大型資金調達を達成している。

コンパック日本法人で初代社長を務めた村井は、経営と技術のわかるエンジェル投資家だ。彼は次のように話す。
「成功しているスタートアップの最大の特徴は、業界に詳しい先輩がアドバイスしているかどうかです」

中村も仕事を増やす過程で学んだことがある。企業に売り込みに行っても、「衛星を買って、一体、何に使うんだ」という相手の反応に対して十分な答えができなかったのだ。
「専門用語をわかりやすく話すことが、その後の成長で大きなポイントになりました」

スタートアップ投資の新潮流は?

グローバル市場で注目され始めている、新種のスタートアップ投資がある。コアとする技術を元に事業を展開する「ディープテック・スタートアップ」だ。ここ数年、国内のIPO件数は増加傾向にあり、VCの投資も、特にシード期で盛んになっている。しかし、その対象となってきたIT系スタートアップの成長がある程度明確になったいま、代わって技術系スタートアップへの関心が高まっているのだ。10月末、ディープテックに焦点をあてたイベント「TECH STARTUP SUMMIT」にも聴衆が詰め掛けた。
「VCの投資先もIT関連以外の比率が増えています。日本のものづくりや技術力に対する信頼は厚く、海外VCは日本のディープテック・スタートアップに大きな期待を寄せているのです」と主催者のTEP代表理事、國土晋吾は語る。
「起業家に必要なサポートは4つ。資金調達とハンズオン、コミュニティ、そしてメンタリングです。TEPには、起業・経営経験が豊富なエンジェル投資家や、専門的なアドバイスが可能なメンター、スタートアップとの連携を望む大企業がいる。ディープテック・スタートアップの成長を生み出すエコシステムが、ここにあるのです」

文 = 北島英之

 

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