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ymgerman / Shutterstock

ここ数年、iPhoneはアップルに莫大な利益をもたらしているが、CEOのティム・クックは喜んでばかりいられない。iPhoneへの依存度が高すぎることは、将来における不安材料だからだ。市場からは、スマートフォン事業で成功を続けることを称賛される一方で、iPhone並みの高成長が期待できる新製品を生み出せていないことを批判されている。クックは、製品開発を補強するために大規模なM&Aの実施を検討するべきかもしれない。

FBRのアナリストDan Ivesは12月10日、まさにこの点を指摘した。「我々は、クックが次の10年間の成長をけん引する製品を開発することに集中していると確信している」とIvesはレポートの中で述べ、アップルが現在取り組んでいるのはiPhone 7の開発だけではない可能性を示唆した。

新たな製品の中には、自動運転車のように社内で開発されるものもあるだろう。しかし、Ivesは今こそ2000億ドル(約24兆円)の手元現金を使って大型買収を実施するべきだと指摘し、候補としてアドビシステムズ、Box 、GoPro、テスラモーターズの4社を挙げている。

コンシューマー製品の世界で圧倒的な力を持つアップルブランドも、B2B領域での影響力はそれほど大きくない。アップルはiPad ProのリリースやIBMとの提携を行っているが、クリエイティブ業界に強いアドビを傘下に収めれば一気に法人向け事業を強化できるだろう。また、今年IPOしたオンラインストレージサービスのBoxを買収すれば、アップルのiCloud事業を一般消費者向けから法人向けに拡大させることも可能だとIvesは話す。

また、アップルの既存の製品ラインと最もフィットするのはGoProだろう。同社は2014年に大型上場を果たして以降、株価は暴落している。アップルのリテール網を使えば、GoProのアクションカメラを売ることは容易だろう。また、ドローンやVR(仮想現実)など、競合のグーグルやフェイスブックが大きな関心を示している分野に進出する足掛かりになるかもしれない。さらには、GoProの獲得によってコンテンツ強化を図ることもできる。

他の3社と比べると、アップルがイーロン・マスクのテスラを買収する可能性は低いとIvesは述べている。自動車ビジネスに対するアップルの野心は既に広く知られているが、「テスラの先進的なバッテリー技術を手に入れることで次世代自動車の開発をスピードアップすることができる」とIvesは指摘する。
「テスラ買収はアップルのR&Dを加速させるだけでなく、故スティーブ・ジョブスと並び称されるテクノロジー・ビジョナリーであるマスクを関与させることもできる」

テスラは決して安い買い物ではない。同社の時価総額は約300億ドル(3兆6000億円)とゼネラル・モーターズ(GM)のほぼ半分もある。販売台数ではGMに遠く及ばないにも関わらずだ。だがクックが恵まれているのは、iPhoneが稼いだ利益のお陰で使いきれないほどの現金が手元にあることだ。その額は、仮にFBRが候補に挙げた4社を全て手に入れたとしてもまだ余るほどだ。

市場ではM&Aが活況を呈しているが、アップルはこれまで通り他社の動きを傍観してきた。アップル史上最大のM&Aは2014年に30億ドルで買収したBeatsだが、Iveが提案した案件はどれもこの金額を上回る可能性が高い。Beatsの買収は、それまで自社プラットフォーム上で展開するテクノロジーを獲得するための小規模なM&Aしか実施してこなかったアップルの戦略を変える転機となった。しかし、Beatsの買収ですら、フェイスブックが190億ドルを投じたWhatsAppの買収に比べれば取るに足らない金額だ。

アップルが余剰資金を活用して買収攻勢をかけるべきだというIveの指摘は非常に理に適っているが、Ive自身も認めているように、どの案件も実現性は乏しい(特にテスラについてIveは「望みが薄い」と述べている)。クックはジョブスの後を継いで以来、豊富な資金力をM&Aに活かすべきだという指摘を受けてきたが、何十億ドルものお金を株主に還元し、これまでに132%のリターンをもたらすことで批判も巧みにかわしてきた。

これまでの歴史を踏まえると、今後M&A市場の活況が当面続いたとしても、アップルが他社の買収に前向きになる可能性は低いかもしれない。

編集=上田裕資

 

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