アクション・カメラ・メーカーのGoProは、バーチャル・リアリティ(仮想現実。以下、VR)の世界でも王者の地位に就こうと奮闘している。
GoProは9月7日、新製品の「Odyssey」を発表した。この製品は16基のカメラを使用し、360度の視点から3D立体映像が撮影できるもの。カメラの開発はグーグルと共同で行った。
今年5月のGoogle I/Oで GoPro 担当者は、グーグルのVRプラットフォームのJump との提携を明らかにしていた。Jumpは16基のGoProカメラを用い、360度の動画撮影が可能なプラットフォーム。撮影したコンテンツはユーザーらがYouTubeにアップロード可能だ。
今回のOdyssey に搭載されたのはHERO4と呼ばれるカメラ。個々のカメラの映像は同期させたり、ユーザーの側で統合的にコントロールすることができる。
今回の限定アクセス・プログラムでは、コンテンツ・クリエイター向けに1万5000ドル(約180万円)という高額を設定している。GoProは今回の試みで、製品が映像関係のプロに利用されることを期待している。
「視聴者を夢中にさせる映像を撮る、本物のプロフェッショナルに使ってもらいたいんです」と、GoPro社のトニー・ベイツ社長は話す。
「この製品はユニークな作品を撮りたい人に本当に役立つデバイスです。映画業界など、すでに多くの関係者からも問い合わせを受けています」
GoProは今回のプログラムの応募者らに、11月初めに商品を届ける予定だ。しかし、その台数はまだ未定だ。 「出来る限り多くの製品を用意したい」とベイツ氏は話した。
ベイツ氏によると、GoProは既にVR動画撮影の分野では標準的な製品になっているという。ユーザーらは複数のGoProカメラを用意して、動画撮影を行っている。
360度撮影が可能なカメラには、多くの競合が存在する。昨年後半にサムスンはProject Beyondを発表した。その後も360fly、Bublcam、Panono等、数多くの企業が、この分野に参入している。
GoProとしては、より消費者に身近な価格でVRビデオ機器を発売するのが目標だ。GoPro社CEOのニック・ウッドマンは、2015年5月に行われたコード・カンファレンスの席上で、6基のカメラが装着された球体型デバイスを公開している。
「幸いなことに、弊社は4つの大きな流れの中心に居ます。ユーザーが生み出すコンテンツの流行やSNSを通じたシェアの一般化、ドローンやVRコンテンツの勃興といったトレンドです」とベイツ社長は述べている。
「GoProはVRの分野の最先端を切り開いていきます」とベイツ社長は続けた。