マサチューセッツ州ケンブリッジに本拠を置くJiboには、多くのアジア企業が出資をしている。同社は年初に実施したシリーズAラウンドで2500万ドル(約30億円)を調達した後、追加で1100万ドル(約13億円)をサムスン、LG、Acer、電通ベンチャーズ、KDDI、NetPosaなどの戦略的投資家から調達している。最新のラウンドには既存株主に加え、Fenox Venture Capitalとデジタルディスプレイを製造する中国企業Ningbo GQYが参加している。
調査会社のPitchBookによると、今回のラウンドでのJiboの評価額は1億2845万ドル(約154億円)だという。
JiboのCEO兼会長のSteve Chambersは、今回調達した資金を使って、中国市場と日本市場向けに製品をローカライズさせたいと話している。「我々はアジアから大きな関心を集めている。日本出張から帰国したばかりだが、ロボットの捉え方がアメリカと日本とでは大きく異なることを痛感した。アメリカ人は、ロボットが人間に対してどの様な機能を提供できるかという点を重視するが、日本人はロボットに人格があるかのように扱う」
「ソーシャルロボット」と評されるJiboは、クラウドファンディングサイトIndiegogoのキャンペーンで初めて披露され、6000台を予約販売して目標額を大きく上回る370万ドルを集めた。プレオーダー価格は749ドルと高額だったが、アーリーアダプターたちには気にならなかったようだ。Indiegogoの予約者には、2016年中頃に製品が出荷される予定だ。
Jiboの頭がボディの上をクルリと回る動作は、まるでアニメのようだ。Jiboはユーザーの話しかけに返答することができる他、写真を撮ったりゲームを遊ぶこともできる。また、搭載されたカメラでユーザーを認識し、好みを記憶する。サードパーティーのサービスも数多く利用でき、Jiboの活躍の幅を広げている。例えばJiboでスカイプを使うことができ、ユーザーが通話中に移動をしてもカメラが姿を捉え続けてくれる。スマートホーム機器のメーカーもJiboとの連携に興味を示している。現在は中国と日本でサードパーティーのインターネットサービスとの連携を推進しているという。
Jiboを開発したのはマサチューセッツ工科大学(MIT)教授で同大学のパーソナルロボット研究グループの設立者でもあるシンシア・ブリジールだ。ブリジールはアニメを手本にし、Jiboの表情を豊かにしてユーザーがJiboとつながりを感じつつ、不気味な印象を持たないように心がけたという。
「デザインの大部分は、薄気味悪く見えないか自問自答しながら決めました」とブリジールは以前のインタビューで答えている。「Jiboは人間そっくりなロボットを目指している訳でありません。過度な擬人化は避けて、親しみやすさを感じさせることと好奇心をそそることのバランスを上手く保つことが大切だと考えています」
「Jiboには人格があります」と彼女は言う。「Jiboの動きや振る舞い、自己表現などはアニメから多くのヒントを得ています。ロボットにキャラクター性を持たせることはとても重要です」