その一方で、最近になってねつ造レビューの存在が明らかになり、匿名レビューの信頼性について考え直している人も多い。アマゾンがねつ造レビューを投稿した顧客を提訴して以来というもの、なおさらだ。 いまやホットな話題になっている、ねつ造レビューの危険性。「アストロターフィング」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
もともとは、実際には存在しないにもかかわらず、意見主張や政策に対する草の根的な支援があたかも広まっているかのように見せかける行為を指す言葉であった。それがいまではEコマースに即して、実際のカスタマーであると見せかけて、ねつ造レビューを投稿する行為を指すようになっているのだ。
実際にねつ造レビューはどんな風に投稿されているのだろう。広告代理店が犯人で、小売店のウェブサイトやサードパーティのEコマースサイトに、満足したカスタマーを装って投稿しているとみる向きもある。
なかにはねつ造レビューの作成をアウトソースし、金を払ってフリーランサーに書かせている場合もあるとされる。 ねつ造オンラインレビューに対しては政府も断固たる対応を行ってはいるものの、一消費者であるあなた自身も、とくにホリデイシーズンを迎えて、しっかりと用心をしなければならない。
ソフトウエアベンダーのBaynote社が、2013-2014年のホリデイシーズンにオンラインで買い物をした1,000人以上の消費者から集めたデータを分析したところ、48%もの人が、ホリデイショッピングに際して、オンラインで見たカスタマーレビューやレーティングに影響を受けていたことが明らかになった。
小売業者はできる限り売上をあげようとして、こうしたことを利用しようとするのだ。 アマゾンが1,000人以上のねつ造レビュー投稿者を提訴したという最近の報道を踏まえて私たちは、あなたがホリデイショッピングをする際に、信頼できないレビューから身を守るためのヒントをまとめてみた。これでこの冬を安心して迎えて頂きたい。
情報源を厳選しよう
信頼できるオンラインレビューにアクセスするための最初の第一歩は、評価が高く、かつアストロターフィングを少なくするような安全策を取っているウェブサイトを選ぶことである。
信頼できるウェブサイトは、レビュー投稿者に一般公開用のユーザープロフィールの作成を義務づけている。こうしたプロフィールをチェックし、そのレビュワーの投稿歴にあやしいところはないかを確認しよう。
特定のブランドに対して偏った評価をしているなどのパターンがあるようなら、用心すべきだ。また、そのレビュワーが5つ星とか1つ星といった評価ばかりをしていないかにも留意しよう。 こうしたことは、その投稿者が本物のカスタマーではなく、何か他の目的を持っているかもしれない兆候である。
Yelpとアマゾンは、しっかりしたフィルタリングがかけられているeコマースサイトである。たとえばアマゾンでは、その投稿者が実際にアマゾンから商品を買い、確かに配達された場合、「Amazonで購入」というマークがつけられることになっている。
初めて使うウェブサイトでは、カスタマーレビューの質を確保する方法について説明したページがあるかどうかを、必ず確認すること。たとえばこのウェブページに掲載されている情報は、このサイトが信頼できるかどうかの良いヒントになる。
もう1つのチェックの方法として、その商品のビデオレビューがどこかに貼られていないかどうかを確認してみよう。最近では5ドルもあれば、最低の商品にもそこそこのビデオレビューをつけることができるようになってはいるのだが、それでもたとえば私がイーベイで見つけたこのビデオのように、最も本物っぽいものを見定めるようにしよう。この例では商品とビデオレビューを、Webyclipという仕組みを使ってマッチングさせている(ただ、これが本物であるかどうかは聞かないで欲しい。ぼくにはまだ子供がいないんだから。)
全体像をつかもう
信頼できるウェブサイトを見つけたら、次のステップは、そのサイトなり、比較サイトにあたって、できるだけたくさんのレビューを眺めてみることだ。そうすることで全体像がつかめるし、特定の製品やサービスについて、より綿密に理解できるようになるだろう。レビューに目を通す際にはいくつかの注意すべきことがある。
第1に、レーティングが現実的な分布になっているかどうかをチェックする。広告代理店は極端なレーティングをしがちだが、本物のカスタマーの本物の感想というのはたいてい、中くらいのところにレーティングされるものなのだ。
次に、レビューが投稿された時刻に注意を払おう。ポジティブなレビューの大半がほんの数分の間に投稿されているようであれば、それはねつ造者が商品を売ろうとして投稿した兆候であるとみてよいだろう。
さらに、レビューが投稿された日付も確認しよう。もしすべてのポジティブレビューが、その商品の発売直後に書き込まれていたなら、それは何者かがバズを海だそうとして投稿したということなのかもしれない。
レビューに使われている言葉を精査しよう
最後に、それぞれのレビューを専門家の目で見るようにしよう。本物のレビューには、パーソナルなことがかいてあるものだ。たとえば、そのユーザーと商品との関係であったり、その商品の好きなところ、嫌いなところが具体的に書かれているはずなのだ。
コーネル大学の研究チームは、ホテルのレビューの正統性を検知するための、語彙解析アルゴリズムを採用したウェブサイトを立ち上げている。レビュー文章をそのサイトにコピーペーストするだけで、アルゴリズムがその文章の信頼性を計算してくれるのである。
このサイトが正統性を見極める際に注目している大きな要因に、そこに詳細なパーソナル情報が書かれているかどうかということがある。誰が、どのような機会に、誰とそのホテルに泊まったのかといったことに触れているかどうか。こうしたことがすべて、レビューの正統性を示す現れとなるのである。
逆に、怪しいレビューを見つけるなら、次のような点に注意しよう。商品名やモデル名を何度も繰り返しているようなレビューには疑いの目を向けるべきだ。おそらくは検索エンジンにアピールしようとしている。
また、マーケティングの専門用語や、技術用語を過度に使っているレビューにも注意すべきだ。ニューヨークタイムスのこちらの記事では、使われている言葉によってレビューを評価するための便利なチェックリストを用意している。これからホリデイシーズンに突入し、ホリデイショッピング商戦が盛り上がってくる。カスタマーレビューを評価する際には、ここであげた3つのコツを忘れないで欲しい。
レビューサイトを厳選し、たくさんのレビューを読んで全体像をつかみ、それぞれのレビューを専門家の目で見るようにすれば、あなたのホリデイショッピングは成功間違いなしだ。