先日、クリスマス限定の「赤いカップ」が一部キリスト教徒らの批判を浴びたスターバックス。
時価総額910億ドル(約11兆2,000億円)の同社の赤いカップをこの冬満たすのは、限定ドリンクとしてはスタバ最大の人気を誇るパンプキン・スパイス・ラテ(以下、パンプキン・ラテ)になる可能性が高い。2003年にデビューしたこのメニューは10数年で、2億カップを販売した。
米国のレイバー・デー(9月第1月曜日)に売りだされるパンプキン・ラテは、秋の訪れを告げるドリンクとして親しまれ、今年の売上は約1億ドル(約123億円)にのぼるとフォーブスは推定する。
人気の背景には期間限定という希少性があり、スターバックスはパンプキンスパイスラテの愛好家に対し、常にネットやモバイル端末を最大限利用した販売キャンペーンを行ってきた。
PSL専用のツイッターアカウントは、フォロワー数が12万を超えスタバがパンプキン味に力を入れるのには、確たる理由がある。パンプキン・ラテを注文する顧客は、1回あたりの支払額がその他の顧客より多いのだ。リサーチ会社NPDの調査によると、昨年パンプキン・ラテを注文した客の平均客単価は平均7.81ドルで、他の顧客の6.67ドルを上回っている。
同社はモバイルを活用したプロモーションにも注力し、パンプキン・ラテ専用のツイッターアカウントを開設。フォロワー数は12万件を超えている。
パンプキン味のブームはマクドナルドやドーナツチェーンのティムホートンズにも広がっている。
ニールセンによれば、全米のスーパーやコンビニなどにおけるパンプキンフレーバーの食品・日用品の売上は2011年以来80%近く増え、2015年には3億6,000万ドル(約440億円)以上に達する。「パンプキン・エコノミー」とも呼べるこの市場は、関連商品を含めると今年5億ドル(約610億円)の規模に達するとフォーブスは推計する。
さらに、パンプキンの次なる成長市場として期待されるのが、ビール市場だ。IPAやニューベルジャンといったクラフトビールメーカーらは近年、パンプキン味のビールで競い合い、消費者から好評を得ている。
マーケットリサーチ会社IRIのデータによれば、クラフトビールの市場規模は200億ドル(約2兆5,000億円)。その中で季節限定品が占める割合は25%に及ぶ。
来年秋にはさらに多くパンプキン味のビールが登場し、売り上げを伸ばすことは間違いない。米国のパンプキン熱は上昇するばかりだ。