フェイスブックは、人工知能(AI)の研究で成果を上げており、ユーザーの好みに、従来以上に適合するニュースフィードの実現の動きを進めている。
同社は11月3日、写真の中の物体や動きを認識できるシステムを開発したと発表した。このシステムは業界の標準と比べて判別のスピードが30%速く、既存の仕組みの10分の1の手間で学習を行うという。
また、写真に何が写っているのかをデバイスに答えさせる新しい機能ビジュアルQ&A(VQA)も備えている。この機能では、質問を読んで理解し回答することができる同社の自然言語処理技術Memory Networksが使われている。
この技術はユーザーによりマッチした画像、投稿、そして広告の提供を可能にするほか、目の不自由なユーザーにとっても価値の高い機能になる可能性を秘めている。同社はさらに、メッセンジャーに組み込まれているパーソナルアシスタントツールMの強化にもAIを使っている。
フェイスブックのマイク・シュレーファーCTO(最高技術責任者)は投稿の中で、「AIの研究は、コネクティビティを広げる抜本的な新しいアプローチの開発と、イマーシブな(没入型の)新たなバーチャルリアリティー技術の開発とともに、当社の長期的な試みだ」と述べた。
「開発が成功すれば、より高性能で利便性が高く、開発者たちがイマーシブな新しい体験を創造することを可能にし、世界中の人々をつなぐことができるシステムを作れるだろう」
フェイスブックのAI研究チームFAIRは、12月に行われる大規模なAIのカンファレンスNIPSで新しいシステムに関する資料を発表する予定だ。シュレーファーCTOが3日、ダブリンで行われたウェブ・サミットで言及した。
同社はさらに、教師なし学習または予測学習とも呼ばれる、観察して推測するトレーニングマシーンの開発でも進歩があったと発表した。FAIRは、一連のビジュアルテスト(例えば倒れるのか倒れないのか分からない積み木)を“観察”することにより結果を予測するシステムを開発、数か月後には90%の確率で正しく予測できるようになるという。これはほとんどの人間よりも高い能力だ。同社はさらに、システムに計画することを学習させる取り組みも行っている。例として囲碁のAIボットの開発があり、その道で腕のある人間と同じぐらいのレベルでプレーできるという。