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メディアとエンターテイメント担当

『ビースト・オブ・ノー・ネーション』(Beasts Of No Nation)のワンシーン
(Photo credit: Netflix)

10月16日、ネットフリックスの映画「Beasts of No Nation」が、ストリーミングと同時に31の映画館で公開されたが、初週の興行収入はわずか5万ドル(約600万円)と大コケ。

しかし、ネットフリックスは劇場での興行成績にはあまり関心がない。1200万ドル(約14億3800万円)で上映権を買ったと言われるこの映画は、同社の目先の利益ではなく、もっと先の未来を担っている。

「Beasts of No Nation」はネットフリックス初の劇場映画である。イギリスの俳優イドリス・エルバが出演、監督はテレビドラマシリーズ「TRUE DETECTIVE/二人の刑事」のディレクターでもあるキャリー・フクナガ。ナイジェリアの小説が原作で、アフリカの市民戦争のさなかに家族から引き離された少年兵アグの人生を描いた。

この映画が面白いかどうかはさておき、万人受けするものではない。グロテスクな殺人鬼、レイプ、暴力的な場面が次から次へと登場する。エルバはローリング・ストーンズ誌に「撮影中“一体誰がこの映画を見るんだ?”という疑問が頭に浮かんでいた」と語っている。

この作品を公開する最大の意義は、アカデミー賞にノミネートされることにある。同賞にノミネートされるには、ロサンゼルス地区の劇場で最低1週間以上、上映される必要がある。また、劇場公開前に別の形式(ストリーミング等)での上映を禁じるルールもあるので、ネットフリックスは同時公開を行ったのだ。

同社はアカデミー賞のために劇場公開の損失を喜んで引き受けたが、実際はそこまで大きな犠牲でもない。会員数6900万人を誇るネットフリックスは、直近の四半期で17億4000万ドル(約2000億円)の売上を記録。コストが上昇する中で2900万ドル(約35億円)の利益を計上している。

本当に損をしたのは映画館の方だ。オンラインで見られる映画を、わざわざ映画館に行って観る観客はほとんどいない。米劇場所有者協会副会長のパトリック・コーコランは「この映画の興行成績が良くないのは当然だ。ネットフリックスは興行成績で成功する努力もしていない。同時公開したのはオンラインのための宣伝にすぎない」と語っている。

ネットフリックスは、「ハウス・オブ・カード」のようなオリジナルコンテンツで知られているが、最近は長編映画にもかなり投資をしてきた。今年前半には、ブラッド・ピット出演作「War Machine」に6000万ドルの出資を行った。同社は視聴率データを公開していないため、オリジナル作品が利益を生んでいるのか定かではない。

ただひとつだけ言えるのは、映画館オーナーらは何も得をしていない、ということだ。

文=ナタリー・ロベーム(Forbes)/ 翻訳編集=的野裕子

 

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