隠れた聖地とヒッコリーゴルフ Part2

Daxiao Productions / Shutterstock

ヒッコリーゴルフではファッションも重要だ。ニッカーボッカー姿の男性たち、ロングスカートに帽子を被った女性たちが集い、プレーの楽しさに加えて、親睦会での交流もまた格別だ。実際、表彰式後の懇親会は、私にとってとても楽しいひと時となった。

 

阿川さんとお話しするうちに、ある思い出話をしてみたくなった。実は、阿川さん、今日は33年ぶりの再会です。前回は1982年3月、大学合格発表で僕が胴上げされていたときに、当時TBSのリポーターだった阿川さんが僕にインタビューしてくださり、夜のニュースで数秒放送されたんですよ。そう告白したら、あー、そういうレポートをしたのは憶えているわよ。当時色々やらされたから。今は何されているの? こんなに大きくなっちゃって。周りの人は大爆笑。強面で通す私もすっかりお子様扱いである。

現在、世界で唯一のヒッコリークラブを製造しているのは、1881年に創業したSt.Andrews golf companyというスコットランドのメーカーだ。阿川杯でもレンタルクラブの多くが、この会社製のものだった。次回のスコットランド訪問時は、ワンセット購入してくるぞと心に決めている。

このメーカーによると、飛距離が伸びたのは主にボールの進化であり、クラブは、130年前に相当程度完成していたらしい。最新のボールを同じプロプレイヤーが打って飛距離比べをすると、1900年以前のクラブと20年代のクラブでは7ヤードほど、現代の460ccのデカヘッドでも、20年代のクラブと比べて7ヤードほどしか違わないとの結果が出ている、という。飛距離不足をクラブのせいにしがちなアマチュアゴルファーにはなんとも耳の痛い話である。

今年10月、世界ヒッコリーゴルフ選手権の記念すべき第10回大会が開催される予定だ。コースは、全英オープン開催でも有名なカーヌスティ。日本からの参加は過去にないらしく、友人のスコットランド人から是非一緒に行こうと誘われているが、ヒッコリーゴルフの楽しさが忘れらない一方で、ベンチャー企業で週6日働いている身としては悩ましいお誘いである。

世界最古のゴルフ場
マッセルバラ・リンクス

現存する世界最古のゴルフ場といわれるこのコースは、いまも競馬場と共存している。
当初、7ホールから始まり、1870年までに9ホールに拡張された。写真は一番ホール、240ヤード、パー3。
1832年に拡張されたホールで、ティーショットは、競馬場のレーストラックを超えてグリーンを目指す。
当初、全英オープンは、セント・アンドリュース、プレストウィック、マッセルバラの3コースで順次開催。

小泉泰郎 = 文

この記事は 「Forbes JAPAN No.16 2015年11月号(2015/09/25 発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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