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Mr. Alliance / Bigstock

何不自由なく使えるお金はもっているものの、「やる気がない」「楽しくない」と漏らす人々がいる。世界のセレブから診療を依頼される筆者が今回紹介するのは、やる気がでないのはなぜなのか、だ。

人には「やる気」があるときとそうでないときがある。
日常的に、気力や元気という表現が使われているが、この「やる気」とは何だろうか?
 
「もっと気力を増して仕事をしたい」と医者に相談したからといって、薬を処方されることはない。
精神医学の世界では、うつの人が普通に生活できるように元気を取り戻す研究がなされているが、「普通の状態の人」がより充実した気力を得る方法は研究されていない。そもそも現代医学の世界で「やる気」は、研究対象ではないのだ。

しかし、「気」を動かす方法はある。金銭的に恵まれ、肉体に病気がなくても「楽しくない」とぼやいて暮らしている人は大勢いる。

そんな人たちのために、次の事例を紹介したい。

32歳の女性が原因不明の頭部脱毛に悩まされて私の診察室を訪ねてきた。「大学病院でステロイド剤で治療されたけれども、効果が出ない」と言う。
現代医学で効果がなかったので、怪しいと思いながらも大学病院の漢方外来を受診した、というわけだ。

彼女は処方された漢方薬を服用後、2カ月で脱毛が止まった。さらに1カ月で新しい毛が生え始めた。その後、半年が経つと、頭部全体に毛が増えた。私は服用をやめるよう勧めたが、念の為ということでさらに1年服用したいと言われた。

1年後の最後の診察日。彼女はこれまでのことを饒舌に語り出した。

脱毛時、実は彼女は家庭がうまくいっておらず、掃除や料理をする気力すら出なかったが、何とかやっていたという。夫との関係も冷めていた。漢方薬を飲み始めると、脱毛が治るよりも早く、気力が出てきたという。
その後、自活を決意し、夫と離婚。現在は一人暮らしをしながら仕事に出ているという。

皮膚症状が治ったことも嬉しいが気力が戻ったことで、「やりたいことが増えて、苦しいことも多いが、生活は充実している」と言う。

脱毛は身体に表れた現象のひとつで、根っこにある問題は「気の流れ」だったのだろう。「気」は東洋医学の大きな要素のひとつである。この気の流れが良くなると人生は変わるのだ。「気」を動かす方法には、漢方薬や気功、導引術などがある。日常生活でも、人と人との交流やそうした場所にいるだけで、気の交流がある。

特定の人と一緒にいたり、好きな場所に行ったら何となくもやもやしていたものがなくなり気が晴れ、すっきりした経験は誰でもあるだろう。人は外部と常に気の交流を行っている。近くに置くと何となく落ち着く物や一緒にいると気分が休まる人とは、そうした交流を及ぼす一種なのだ。

どんなことをするにしても、また結果が成功であっても失敗であっても、気力があれば次を狙えるのである。

桜井竜生(日本東洋医学会漢方専門医)/ ichiraku / 岡村亮太 = イラストレーション

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