先週のアップルの新製品発表会において、最も重要な事柄の一つと言えるのが、新型iPhoneのアップグレードプランだ。これはアップル製品の販売において、キャリアへの依存度をさらに引き下げ、2年縛りの契約プランに終わりを告げることと言える。
このプランは顧客らをAT&TやVerizonを素通りさせ、アップルストアへ向かわせるものだ。2年間のリース契約に同意すれば、顧客らは新しいアンロック済みのiPhoneを手にすることができる。支払い金額は毎月32ドル少々からだ。
アップルはまだ、顧客がどのようにしてキャリアの契約から逃れるのかを説明していない。しかし既に、同社のプランは賞賛を集めつつある。対するT-MobileやSprintは、攻撃的な価格プランを提供している。月額料金は27ドル(約3260円)まで下がっているが、保険を考慮すればアップルのプランと同額か、少し高くなる。
もちろん、アップルから購入する場合でもキャリアへの支払いは必要だ。この代金は月額で最低50ドル(約6030円)はかかるだろう。業界二位のT-MobileやSprintなら、安価なプランが見つかるかもしれない。
しかし、アップルは同社のWebサイトで、アンロックされた携帯を持つ利点を強調した。「もしキャリアの縛りが無ければ新しいキャリアの選択も自由です。同じキャリアを使い続けることも可能です」とアップルは言う。
Appleはゆっくりとではあるが、通信キャリアの支配から脱出しようとしている。iPhoneはアップルの利益の約3分の2を占めており、iPhoneの売上こそがアップル社の原動力だ。
しかしながら、通信キャリアはここ2年ほど、端末のコストを回線サービスのコストから切り離し、これにより顧客らにiPhoneの650ドルを越える価格を隠すことが難しくなっている。これは顧客をより安いAndroidのモデルへと向かわせかねないリスクだ。
今回、アップルが打ち出したリースプランは、他のスマホメーカーもかつて行った施策だ。2013年に、モトローラは最大18ヶ月の利子0%のローンを提供した。HTCも同様なプランを発表した。
そしていよいよ、アップルがリースプランを始動する。他のスマホメーカーらが、バスに乗り遅れまいとするのは想像に難く無い。
アップルは昨年、顧客がどのキャリアを利用するかを選択可能なSIMカード付きのiPadをローンチした。さらに、アップルは自社のモバイルネットワーク(MVNO)を米国と欧州で立ち上げる動きも進めている。この計画は、関係者らの間では公然の秘密となっている。
この動きが進めば、客たちはiPhoneを通信キャリアから買うのをやめ、アップルから買うのが当たり前になるだろう。