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北米

2025.04.20 12:00

米国への入国には「中国並みの警戒」が必要、欧州諸国も注意喚起

Leonard Zhukovsky / Shutterstock.com

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米首都ワシントンでは間もなく国際通貨基金(IMF)と世界銀行の春季会合が開かれれようとしている。この会議のために米国に向かう一部の欧州委員会の職員らは、特別支給されたプリペイド式携帯や代替のノートパソコンを携行する予定だ。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、こうした安全対策は、これまで欧州委員会の職員が中国を訪問する際にとられてきたものと同様の措置だという。欧州の一部の国は、トランプ政権下の米国を「敵対国」と見なし、自国の情報を監視から守ろうとしているのだという。

カナダや中国、フランス、ドイツ、デンマークなどの複数の国が、米国への渡航に関する新たな注意喚起を出している。デンマーク政府は、トランプ政権が男性と女性の2つの性別のみを認めていることを受けて、トランスジェンダーの旅行者に警告を発している。フィンランド政府の注意喚起は、パスポート上の性別と出生時に割り当てられた性別が一致しない場合に、「入国を拒否される可能性がある」と述べている。

一方、カナダ大学教員協会は、トランプ政権に批判的な意見を表明した者や同政権の方針に反するとみなされる危険のある研究を行っている者に対して、米国への不要不急の渡航を控えるよう助言している。こうした動きは、米国の税関・国境警備局(CBP)の職員が移民だけでなく一般の渡航者を対象に携帯電話を押収・捜索するという事例が目立って増えてきたことを受けてのものだ。

3月には、フランス国立科学研究センター(CNRS)から派遣されたフランス人科学者が、入国審査官によって、スマートフォン内のトランプ政権を批判するメッセージを発見されたことが原因で、米国への入国を拒否された。また、カナダへの週末の旅行から帰国しようとしたニューハンプシャー州の不動産弁護士が国境で足止めされ、Eメールの中身を調査されたこともあった。

さらに、今月初めには、ドミニカ共和国から帰国したデトロイトの弁護士が、スマートフォンの中身を調べられた。この弁護士は、親パレスチナ派の学生活動家の弁護を務めており、携帯電話には職務上の機密情報が含まれているとして抗議した。

彼はアラブ系米国人のクライアントを多く抱えており、国境で拘束された場合の対応について日常的に助言を行っていたというが、これまで自身が捜査対象になったことはなく、「このようなことが自分に起こるとは思ってもみなかった」と語っている。

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編集=上田裕資

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