北米

2025.04.20 12:00

米国への入国には「中国並みの警戒」が必要、欧州諸国も注意喚起

Leonard Zhukovsky / Shutterstock.com

こうした事例やトランプ政権の姿勢は、外国の企業や外国籍の従業員を抱える米国企業を不安にさせている。ワシントンD.C.の法律事務所で移民法を専門とする弁護士で、オバマ政権下で米国市民権・移民局(USCIS)の局長を務めたレオン・ロドリゲスによれば、「渡航中の従業員にプリペイド式の携帯電話を支給するべきか」という相談が増えているという。

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米国への海外出張を制限する企業も

米国内でプリペイド式端末を使用するのは一般的な企業慣行ではないとロドリゲスは説明するが、そもそも、「プリペイド式」であるかどうかにかかわらず、会社のスマートフォンを従業員に支給する企業は多くない。2022年にオックスフォード・エコノミクスとサムスンが実施した調査によると、中小企業のうち、全社員にスマートフォンを支給しているのは15%にとどまり、特定の社員にのみ支給している企業は46%だった。

米国の移民法においては、国境のような場所では、憲法が保障する「不当な捜索・押収」からの保護が弱まるため、税関職員は携帯電話の中身を捜索することが可能だ。ただし、ロドリゲスによれば、税関職員が確認できるのは端末の内部に保存された情報のみであり、クラウド上に保存された情報にはアクセスできないという。ただし、米国国土安全保障省は先に、学生ビザや移民の申請者がSNS上で反ユダヤ主義的な活動をしていないかを調べるスクリーニングを開始すると発表した。

一方、農業や製造業などの移民労働者の比率が高い業種においても、大規模な強制送還への懸念が広がっており、H1-Bビザの保有者といった高度人材を抱える企業では、優秀な人材の確保が課題となっている。

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ロドリゲスを含む法律分野の専門家たちは、1期目のトランプ政権でとられたような渡航禁止措置が再び発令されるリスクを踏まえて、ビザ保有者の出張を制限するようクライアントに助言している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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