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北米

2025.04.15 17:00

米ハーバード大がトランプ政権の「リベラル狩り」に反発、徹底抗戦の構え

2025年4月12日、ハーバード大学に対し、トランプ大統領の圧力に抵抗するよう呼びかけるデモ参加者たち。(Erin Clark/The Boston Globe via Getty Images)

2025年4月12日、ハーバード大学に対し、トランプ大統領の圧力に抵抗するよう呼びかけるデモ参加者たち。(Erin Clark/The Boston Globe via Getty Images)

全米屈指の有名私立大学の1つであるハーバード大学は4月14日、トランプ政権が「リベラル偏向」と断じる名門大に政府助成金の取り消しなどの措置で圧力をかけている中で、「大学の独立性を放棄したり、憲法上の権利を手放すことはない」と反発した。

「ハーバードも他のいかなる私立大学も、連邦政府に乗っ取られることを許すわけにはいかない」とハーバードの代理人である弁護士らは、教育省やトランプ政権の当局者に宛てた書簡の中で述べている。

米教育省を含む複数の政府機関は先月、ハーバードが「連邦規制を順守しているかどうか」を確認するために、総額90億ドル(約1兆2900億円)近い助成金などを見直すと発表した。トランプ政権は、同大学にDEI(多様性、公平性、包摂性)施策の見直しや学内での「反ユダヤ主義的活動」の取り締まりの強化を求めている。

弁護士らは14日の書簡で、「ハーバードはキャンパスでの反ユダヤ主義と引き続き闘う方針であり、大学として、その取り組みについて対話を行う用意はある」としながらも、同大学が「この政権、またはどの政権の権限を超える要求にも応じるつもりはない」と述べている。

ハーバードのアラン・ガーバー学長は、トランプ政権が同大に突きつけた要求が「政府の法的権限を越え、憲法で保障された大学の権利を侵害する」と拒絶の理由を説明した。

ハーバードの寄付基金の評価額は、2024年の会計年度に532億ドル(約7兆6000億円)に達し、プラス9.6%の運用成績を記録していた。同大学の寄付基金は全米の大学の中で最大で、これに続くのがイェール大学(420億ドル、約6兆円)とテキサス大学オースティン校を含むテキサス大学システム(400億ドル、約5兆7200億円)とされている。

トランプ政権は3月に、60の大学を対象とした反ユダヤ的活動の調査を開始した。教育省は書簡で、大学が人種や肌の色、国籍に基づく差別を禁じた公民権法に違反し、キャンパス内で「ユダヤ人学生を守る義務」を怠ったと認定された場合に、「強制措置」が取られる可能性があると警告している。

調査対象となった最初の5校のうちの1校であるコロンビア大学は、4億ドル(約571億円)相当の連邦助成金などをトランプ政権により打ち切られた。プリンストン大学やコーネル大学、ノースウェスタン大学も、一部の研究に対する助成金を凍結されている。

トランプ政権は、昨年起きたイスラエルによるガザ侵攻に抗議する大学キャンパス内の一連の抗議行動に関連するユダヤ人学生に対する差別や嫌がらせの訴えを調査している。活動家たちは、大学にイスラエル関連投資の引き揚げを求めていたが、一部の抗議活動では反ユダヤ的な行動も行われていた。

外国人学生を「強制送還」する動きも

リンダ・マクマホン教育長官は先月、ハーバードがユダヤ人学生の保護を怠り、「自由な探究よりも分断的なイデオロギーを推進している」と非難した。

トランプ政権は、大学への資金提供を見直すだけでなく、抗議活動に関与した外国人の学生のビザを取り消し、強制送還を試みている。たとえば、コロンビア大学の学生のマフムード・カリルは正規のビザを保有し、米国の永住権も持っていたにも関わらず、3月初めに同大の学生寮で身柄を拘束された。ルイジアナ州の移民裁判所は11日、カリルの国外退去処分が可能との判断を示した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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