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北米

2025.02.27 12:00

LGBTを自認する米国民が過去5年間で倍増、トランプ大統領は弾圧を強化

Shutterstock.com

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米調査会社ギャラップは、米国の成人の約10人に1人が自らをLGBTなど性的少数者だと認識しているとの調査結果を公表した。同社がこの統計を開始してから約15年間で、性的少数者を自認する人がほぼ3倍になったことが明らかになった。

ギャラップが2024年に1万4000人以上の米国人を対象に行ったLGBTに関する最新の世論調査によると、回答者の9.3%が自らを厳密には異性愛者ではないと報告し、20年時点の倍近くに上った。同社がこの調査を開始した12年時点では、わずか3.5%だった。

最新の調査では、回答者の85.7%が異性愛者だと答えたのに対し、5.2%がバイセクシュアル、2.0%がゲイ、1.4%がレズビアン、1.3%がトランスジェンダーだと答え、1%弱がパンセクシュアルやアセクシュアルなど、その他の項目を選択。5%は回答を拒否した。自身が性的少数者であると認めた900人以上の回答者に限ると、半数以上に当たる56%がバイセクシュアルだと答え、続いてゲイ(21%)、レズビアン(15%)、トランスジェンダー(14%)、その他(6%)と回答した人が続いた。調査では複数回答が認められた。

若い世代は年配の世代に比べて異性愛者ではないと自認する割合がはるかに大きく、1997~2006年の間に生まれたZ世代では20%が自身を性的少数者だと認識していた。また、回答者のうち、女性、民主党支持層、都市部の住民は、男性、共和党支持層、農村部の住民より、自身が性的少数者であると申告する傾向が高いことも判明した。

米国の生物学者アルフレッド・キンゼイは1948年、研究対象とした男性の10%が同性愛者だったと報告したことで知られている。だが、キンゼイの報告はサンプル数が少なく、方法論にも問題があるとして批判を招き、男性の10人に1人が同性愛者であるという考えは直ちに否定された。ところが今回の世論調査によって、現代の米国ではキンゼイが数十年前に報告した数字に近づいていることが示された。

社会でLGBTの認知度が急激に高まり始めた1980年代以降、米国では性的少数者であることを公言する人の数が着実に増加している。性的少数者が差別の撤廃を求めて街頭を練り歩く「プライドパレード」が最初に開催されたのは1970年だが、特に80年代後半~90年代前半にかけて社会的認知度が高まり、参加者が大幅に増加した。米国では1999年に当時のビル・クリントン大統領が6月を「同性愛者のプライド月間」と正式に宣言して以降、雇用市場や賃貸住宅市場での性的指向による差別を禁止する法律が次々と成立。2015年には同性婚が合法化された。

性的少数者の権利が確立されるにつれ、社会での認知度や受容度も高まっていった。現代では一般のメディアでも性的少数者の問題が広く取り上げられるようになり、大手ブランドは広告に同性カップルを起用するようになった。

このように、米国は性的少数者の権利向上に向け大きく前進してきたが、いまだに特定の層の自由を制限しようとする動きもある。ドナルド・トランプ大統領は1月に就任して以降、心と体の性が一致しないトランスジェンダーや、自らを男性でも女性でもないと認識しているノンバイナリーの国民を標的とした複数の大統領令に署名している。1つは、19歳未満の性別適合手術を制限するもので、もう1つは、出生時の性は男性だが自らを女性だと認識するトランスジェンダーの選手がスポーツ大会に女子として出場することを禁止するもの。同大統領はさらに、トランスジェンダーの軍への入隊を禁止するという、第1次政権時の政策を復活させたほか、生物学的な性別は男性と女性の2つしかないことを宣言する大統領令にも署名した。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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