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2025.04.10 13:00

一部のテスラディーラー、サイバートラックの「下取りを拒否」 米国

Iv-olga / Shutterstock.com

サイバートラックは2019年のお披露目以来、論争の的となってきた。初期の耐破壊性デモンストレーションで「割れない」とされていた窓ガラスが粉々に割れるという失態を演じ、その「未来的」な外観とは裏腹に、つまずきは最初から始まっていた。当初は2021年末に生産開始し、ベース価格3万9900ドル(約586万円)とされていたが、実際に市販されたのは2024年モデルで、デュアルモーターの4WD仕様が9万9000ドル(約1450万円)という予想外の高価格だった。その後の値下げにより、現在は4WDモデルのベース価格が7万2490ドル(約1070万円)まで下がっており、ベースグレードのサイバートラックは連邦税額控除7500ドル(約110万円)の対象となる数少ないモデルの1つとなっている。

さらに、低価格帯の後輪駆動シングルモーターバージョンが依然として実現していないだけでなく、サイバートラックにおけるもう1つの公約も果たされないことが最近判明した。2024年の発売時に1万6000ドル(約235万円)のオプションとして明示されていた「レンジエクステンダー」は、当初470マイル(約756キロメートル)の航続を可能にするとされていたが、その後445マイル(約716.2キロメートル)に下方修正され、現在ではオンラインオプション選択メニューからも姿を消している。

自動車市場の分析を行うコックス・オートモーティブによると、テスラの全体販売は2023年第1四半期をピークとして減少に転じ、2024年第1四半期には約8%落ち込んだ。一方で、2025年第1四半期時点の電気自動車全体の販売は前年同期比で12%増加したと推定され、ゼネラルモーターズのEV販売だけでも、シボレー・エクイノックスEVやブレイザーEVの好調により94%増を記録している。

テスラの失速要因としては、イーロン・マスク自身の物議を醸す言動に加えて、モデルラインナップの陳腐化(ベストセラーのモデルYがようやく改良される段階だ)も大きいようだ。全米各地にあるテスラのディーラーやスーパーチャージャーに対する抗議や破壊行為が相次いでおり、複数の問題が顕在化している。もともとテスラの初期販売台数の多くが、民主党支持が多い「ブルーステート」の居住者に支えられていたことも、いまの逆風を強めているとの見方がある。

批評家たちは、マスクは現在、自身の自動車会社よりもDOGEに関与していると指摘し、彼は政府関連の仕事を脇に置いて全力でテスラの経営に戻るか、テスラから完全に撤退してより献身的なCEOにテスラの運営を任せるべきだと主張している。だがそれは、ブランドがすでに修復不可能なまでに崩壊していない場合の話だ。結果は時間が教えてくれるだろう。

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全米に広がる「テスラ離れ」 他社のエンブレムに付け替えるEV所有者も

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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