キャリア・教育

2025.04.09 14:15

TOEIC/英検=横軸、会話=縦軸。元英検面接官考案「英語学習マトリックス」とは

(画像:著者提供)

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日本人の英語学習について、「試験英語から始めるのではなく、まず“シンプルな英語を話す力”を育てるべき」と提唱するのは、元英検面接委員であり、英語学習関連書籍や教科書19冊以上の著者であり、「Simple English/シンプルイングリッシュ®」を日本で初めて提唱した酒井一郎氏だ。

酒井氏が勧めるのは、「Easyモード英語攻略法」。難しい単語や文法にとらわれず、シンプルな英語で「話す力」を先に育てる。そのうえで英検やTOEICといった試験に取り組むことで、試験も会話も同時に効率よく習得できるという。

本稿では 元英検面接官が見た TOEIC900点でも話せない日本人。攻略は「モード逆転」に続き、「Easyモード英語攻略法」の具体的実践法として、酒井氏が自ら考案したマトリックスを紹介する。


まずはTOEICの高得点!で陥る「苦戦スパイラル」……

英語を学ぶ多くの社会人は、次のような順序で学習を進めがちです。

1.「まずは英検上級を取らなくては!」 → 英検合格
2.「TOEICの高得点も必要だ!」 → TOEIC高得点取得
3.「英検は合格したけれど、英語が話せない」
4.「TOEICは高得点なのに、英語が話せない」
5.「やはり英語を話せるようにならなくては」
6.「結局、英語が話せなくて苦労する」

この方法では、試験の勉強に時間をかけたにもかかわらず、実際の英会話で苦戦するケースが多いのです。いわゆる「長時間の苦戦スパイラル」に陥ってしまいます。

ところが最初にシンプルな英語が話せると、英検もTOEICも攻略しやすく、英会話の上達スパイラルとなります。

シンプルな英語が話せる理想的な上達スパイラル
シンプルな英語が話せる理想的な上達スパイラル

そこで、効率的に英語を習得する方法として、シンプルな英語が話せるようになってから、英語を攻略する「Easyモード英語攻略」をご紹介します。

「Easyモードマトリックス」とは?

基本となる考え方をマトリックスで説明します。

-縦軸(英会話スキル) →  ※「英語が話せない」→「シンプルな英語が話せる」※

-横軸(試験スキル) → ※「勉強していない」→「英検・TOEICができる」※

これをもとに、4つのゾーンに分けて考えます。

Easyモードマトリックス
Easyモードマトリックス

※このマトリックスの4つのゾーンの下の2つ、すなわち「初学者ゾーン」から「試験偏重ゾーン」を目指しても、ポジティブな英語スパイラルに乗ることはできません。代わりに、上の2つのゾーンを意識して、「準Easyモード」から「Easyモード」への移行を目指すべきです。すなわち、※

1.最初にシンプルな英語を話せるようにする

→難しい表現を覚える前に、基本的な英会話を身につける。

2.英検上級をEasyモードで攻略する

→シンプルな英語の土台があれば、英検の試験勉強もスムーズ。

3.TOEIC高得点をEasyモードで目指す

→シンプルな英語を使いこなせば、リーディング・リスニングの理解力もアップする。

4.英会話を上達させる

→実践的な会話力があるので、上達スパイラルに入る。

——英検やTOEICのスコアを追い求める前に、まずはシンプルな英語を話せるようになることが重要です。この順番を守れば、試験対策も英会話も「Easyモード」で効率的に攻略できます。

酒井一郎◎慶応義塾大学商学部卒業、米国シンプソン大学アメリカ研究科卒業。英検面接委員を19年間務める(1992〜2011年)。東京・吉祥寺で英会話スクールを37年間経営、5200人を超える受講生の直接指導も。自著『あなたの英語の勉強を楽にしてあげたい』(2001年10月、草思社刊)により、「Simple English/シンプルイングリッシュ®」を日本で初めて提唱、特許庁より登録商標される。執筆した著書19冊は累計42万部刷(うち4冊は韓国、台湾で翻訳出版)。それらの自著は早稲田大学教育学部、法政大学、東京理科大学、明星大学、日大文理学部、NHKカルチャーセンター、日商岩井、服部調理師専門学校などで採用された。文部省下の教科書の単独執筆もある。

文=酒井一郎 編集=節子石井

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