英国が新たに導入した電子渡航認証(ETA)は、日本や米国、欧州連合(EU)を含む多くの国から英国に入国する旅行者に義務付けられる電子許可証だ。
英政府はこれまで国ごとに順次ETAの適用を進めていたが、4月2日以降、すべての国に適用されることになった(訳注:日本国籍者には1月8日から取得が義務付けられている)。これにより、英国またはアイルランドの国籍を持たない世界中のほぼすべての人が、英国に入国する際にETAが必要になった。渡英の目的が、観光、出張、家族訪問のいずれであっても適用される。
英国のETAとは
ETAとは、日本人を含む外国人が、旅行、出張、家族訪問など、いずれの目的でも最長180日(6カ月)間、英国に滞在することを許可するもの。英国の空港や駅、港に到着した時点でETAを取得していない場合、免除カテゴリーに該当しない限り入国できない。
英国またはアイルランドの国籍を持たない外国人のほとんどは、英国に入国する際にETAの提示が求められる。ただし、英国のビザ(査証)を所持している場合や、同国の空港で乗り継ぎ(トランジット)をする際に入国審査を通過しない場合、入国審査が免除される場合はETAは必要ない。
英国またはアイルランドの国籍者にもETAは適用されない。また、修学旅行で英国を訪れる隣国フランスの児童(ただし、学校が事前に団体旅行の申請をする必要がある)や、居住、就労、留学などで英国の長期滞在許可を得ている場合もETAは必要ない。英国またはアイルランドの国籍を持つ二重国籍者が両国いずれかのパスポート(旅券)で英国に入国する場合や、英王室属領のガーンジー島、ジャージー島、マン島からの旅行者もETAが免除される。
18歳未満の未成年者や70歳以上の高齢者であってもETAが必要で、英国またはアイルランドの国籍を持つ配偶者またはその他の家族と一緒に渡英する場合も同様だ。
ETAの申請方法
ETAは渡英する前に、オンラインまたはアプリで申請する必要がある。申請料は1人当たり10ポンド(約1900円)で、4月9日以降は16ポンド(約3100円)に値上げされる。取得したETAはパスポートに結び付けられる。有効期間は2年間で、パスポートの有効期限が切れない限り、ETAを更新することなく何度でも渡英することができる。パスポートの有効期限が切れた場合はETAの有効期間内であっても再取得する必要があり、新しいパスポートに結び付けなければならない。
ETAは4月2日からすべての国に適用
英政府は2024年、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の国籍者にETAの適用を開始した。2025年1月以降、EU以外のほとんどの国の国民は英国のETAを取得しなければならなくなった。4月2日からは、EU加盟国の国民を含むほぼすべての外国人にETAが適用されることになった。
英国のETAは米国のESTAや欧州のETIASと類似の制度
英国のETAは、米国に入国する際に必要となる電子渡航認証制度(ESTA)や、今後導入が予定されているEUの欧州渡航情報認証制度(ETIAS)と類似の制度だ。
欧州のETIASはビザを必要としない国からの旅行者に対し、到着前に入国許可を得ることを義務付けるもの。ETIASは3年間有効で、18歳未満と70歳以上の旅行者には申請料の支払いが免除される。ETIASは2025年半ばの運用開始が予定されているが、これまでに何度も延期されており、実際の開始日はまだ確定していない。