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2025.02.21 11:30

ゴールデンビザの廃止に向かうEU諸国、制度を維持する国に申請が殺到

ギリシャ・サントリーニ島(Shutterstock.com)

ギリシャ・サントリーニ島(Shutterstock.com)

「ゴールデンビザ」とは、投資を通じて外国の居住権を得るビザ(査証)制度だ。しかし、最近では住居や安全、公平性を巡る地元住民の懸念が高まっていることから、欧州連合(EU)に加盟する多くの国が廃止や規制強化に踏み切っている。スペインがこの制度を間もなく廃止することから、ギリシャやポルトガルなどで申請が急増している。

投資による居住権の扉を閉ざし始めたEU諸国

EU各国のゴールデンビザ制度は、EU非加盟国の国民が移住を希望する国に投資することで合法的な居住権を得ることを認めるもので、特に不動産購入(住宅ローンを利用しないことが条件)がその代表的な例だ。ほとんどの国はビザ取得者に対し、市民権ではなく永住権を提供している。

だが、近年は多くのEU諸国がこの制度の廃止に向かっている。スペインは最近、2025年4月3日をもってゴールデンビザ制度を正式に終了すると発表した。オランダは24年1月に同制度を廃止。英国とアイルランドもウクライナ侵攻開始以降、安全保障上の懸念が高まったとして、それぞれ22年と23年に同制度を終了している。

不動産価格の高騰をもたらしたスペインのゴールデンビザ制度

スペインのゴールデンビザを取得するには、最低50万ユーロ(約7800万円)の不動産投資が必要で、3年間の居住が認められる。申請者の大半は、中国、ロシア、英国、米国、ウクライナ、イラン、ベネズエラ、メキシコの出身で、スペイン政府は13~23年の間に1万4576件のゴールデンビザを発給した。

近年では同制度を巡り、特に首都マドリードやバルセロナといった大都市で、住宅供給への影響が不安視されるようになっている。スペインのペドロ・サンチェス首相は、同国で発給されたゴールデンビザの94%が不動産投資によるもので、国内の住宅市場の緊張を助長していると指摘した。同国第2の都市バルセロナでは、ゴールデンビザ関連の不動産購入額が年間住宅販売額全体の5%以上を占めている。外国人が不動産を買い占めることで住宅価格が押し上げられ、地元住民が大都市から追いやられていると指摘する専門家もいる。

スペイン政府が同制度を廃止すると発表したことで、他の欧州諸国のゴールデンビザ制度への関心が急速に高まっている。

今後はギリシャのゴールデンビザに申請が殺到か

特にギリシャでは米国人申請者の増加が著しく、24年11月には月間の申請者数が383人に達した。ギリシャはゴールデンビザの手続きが迅速で、申請から60日以内に居住が許可される。

かつてはビザ発給の条件となる不動産投資額が25万ユーロ(約3900万円)に設定されていたが、23年9月には、首都アテネやサントリーニ島といった住宅需要の高い地域で80万ユーロ(約1億2500万円)に、それ以外の地域でも40万ユーロ(約6300万円)と、大幅に引き上げられた。一度ビザを取得すれば、実際にギリシャに住まなくても居住権を維持することができる。
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翻訳・編集=安藤清香

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