北米

2025.03.31 09:30

トランプの政策が米国の観光業界に冷や水、数年にわたり続く可能性

Joshua Sukoff / Shutterstock.com

歴史的に、国際社会の対米感情と米国への旅行需要は常に関わり合っている。「トランプ大統領の1期目に米国への旅行にはかなり大きな変化があり、トランプ政権の政策や暴言が向けられた国々の動向が影響した」とサックスは指摘する。サックスによると、1期目が始まる前、メキシコや中国、中東のイスラム諸国などからのインバウンド客は増加していたが、トランプ大統領がそうした国々に対して攻撃的な発言をし、トランプ大統領の就任からの3年間で当該国からの旅行客は減少したという。

「旅行の計画やキャンセル、米国への旅行意欲、さらには予約照会や航空券予約のペースなどのデータを見ると、こうした大きな変化は評判の良くない政策や強硬発言と関連している可能性がある。トランプ1期目よりもはるかに深刻な状況だ」とサックスは話す。

反米感情は、今年開催されるゴルフのライダーカップ、2026年のFIFAワールドカップ、2028年の五輪といった米国での主要なスポーツイベントの観戦を目的とする外国からの旅行者に悪影響をおよぼすだろうか。「過去25年間、欧州の不評を買う政策を米国が打ち出すたびに、欧州から米国への旅行に影響がおよぶのを見てきた」とサックスはいう。「湾岸戦争の時もそうだった。米国の方針は欧州ではかなり不評だった。だが今私たちが目にしているのは桁違いに深刻な事態だ。米国が基本的に欧州を敵対国として扱っているため、ゼロサムゲームとする貿易戦争にまで発展した」

「トランプ政権は国際観光分野において、不必要な過ちを次々と犯している」とサックスは指摘する。「カナダに対して米政権が取っている敵対的な姿勢から得られるものは文字どおり何もない。トランプ大統領は欧州連合(EU)が米国をだますために結成されたと発言しているが、そうした欧州に対する姿勢からも何も得られない」

メキシコから米国への旅行者数はカナダに次いで多い。関税の脅しが激しくなる前、USTAは今年のメキシコからのインバウンド客は前年比で18%増加すると予想していた。トランプ大統領の1期目の前半には、メキシコからの米国訪問者は3%減少した。だが、米商務省の観光当局が発表したデータによると、メキシコから米国への2月の航空旅客数は前年同月比6%減だった。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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