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北米

2025.03.12 10:30

渡米を中止するカナダ人が増加、米国の経済損失は5900億円との予測も

米北西部ワシントン州ブレーンで、米国とカナダの国境を示す標識。2025年2月1日撮影(David Ryder/Getty Images)

米北西部ワシントン州ブレーンで、米国とカナダの国境を示す標識。2025年2月1日撮影(David Ryder/Getty Images)

カナダ国家統計局は10日、2月に陸路で米国に渡航したカナダ人の数が前年同月比23%減少したと発表した。カナダから米国への渡航手段は陸路が大半を占める。同月にカナダから米国に飛行機で移動した人は同2.4%減少した。

米旅行産業協会(USTA)は2月、カナダから米国を訪れる旅行者が1割減少するだけでも、米国は21億ドル(約3100億円)規模の消費を失い、接客業をはじめとする業種で約14万人の雇用に影響が出るとの見通しを発表した。カナダからの旅行者が2割以上減少すれば、2025年通年で米国の損失は40億ドル(約5900億円)超に膨らむという。

カナダ最大手の旅行代理店フライトセンターはフォーブスの取材に対し、2月の米国行きの旅行予約が前年同月比で40%減少したほか、すでに予約されていた米国旅行のキャンセル率はこの3カ月間で20%に上ったと明らかにした。

USTAは、2025年に米国を訪れるカナダ人旅行者数は前年比5%増の2150万人程度になると見込んでいた。これに対し、フォーブスの取材に応じた米ウェスタンワシントン大学国境政策研究所のローリー・トラウトマン所長は、カナダ人の間で米国製品を回避する動きが広まっている昨今の状況を考えると、これほど旅行者が増加することは「ほぼ見込めない」と指摘した。

フォーブスはUSTAのほか、米国家観光局と米観光促進団体「ブランドUSA」にも取材を試みたが、いずれも2025年のカナダから米国への旅行者数の見通しが下方修正されるかという質問には答えなかった。

米国のドナルド・トランプ大統領が2月1日、隣国のカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を課す大統領令を発令したことを受け、退任を目前に控えたカナダのジャスティン・トルドー首相は国民に対し、米国旅行の代わりに国内を旅行するよう呼びかけた。米国家観光局によると、カナダ人は米国を訪れる外国人観光客の中で最大規模を占めており、2024年のカナダ人観光客による消費額は205億ドル(約3兆300億円)に上り、経済効果でも最大となっている。

特にカナダとの国境沿いに位置する米国の町は両国の往来に大きく依存しており、カナダ人による米国旅行のボイコットが経済的に長期的な影響を及ぼすとみる専門家もいる。トラウトマン所長は、カナダとの国境に近い同大学周辺のホテル需要が過去28日間で12%減少したことを挙げ、同国からの旅行者はわずかな減少にはとどまっておらず、大幅な減少を示していると指摘。この状況が直ちに改善すると考えられる理由は見当たらないと述べた。カナダのフライトセンターで通信責任者を務めるアムラ・ドゥラコビッチは、カナダ人の旅行需要は依然として旺盛だが、米国以外の行き先を探す動きが目立ち始めていると語った。

トランプ大統領が新たに課した関税の対象国であるメキシコも、米国への旅行者がカナダに次いで多い国だ。メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は米国の関税に対する報復措置を命じたが、国民に渡米を控えるよう呼びかけてはいない。USTAは、2025年に米国を訪れるメキシコ人旅行者数が前年比18%増加すると予測している。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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