生成AIのユニコーン企業Anthropic(アンソロピック)は、自社の強力なClaude(クロード)モデルを、より多くの企業に提供しようとしている。
評価額が620億ドル(約9兆3100億円)とされる同社は3月26日、人工知能(AI)を活用したデータ解析プラットフォームを提供するDatabricks(データブリックス)と5年間のパートナーシップを締結したと発表した。この提携により、コムキャストやコンデナスト、ブロックらを含む1万社以上のDatabricksの顧客は、自社の業務向けのAIエージェントをClaudeで構築することが可能になる。
事情に詳しい関係者によれば、この提携の価値は1億ドル(約150億円)にのぼるという。
両社の提携の目的は、金融詐欺の検出や医薬品開発、カスタマーサービスの支援といった特定分野の業務を遂行するAIボットを企業が独自に立ち上げられるようにすることにある。このパートナーシップには、Anthropicの従来型の言語モデルの機能に加えて、複数ステップの課題に対する「推論」能力を備えた最新AIモデル「Claude 3.7 Sonnet」へのアクセスが含まれている。
Anthropicの最高プロダクト責任者(CPO)のマイク・クリーガーは、「当社のエンタープライズ領域への注力は、設立当初からの理念に根ざしている」と述べている。OpenAIから離脱したダリオ・アモデイが2021年に設立し、CEOを務めるAnthropicは、安全性を重視したAI開発を使命に掲げている。「この会社の理念とストーリーは、責任や信頼、安全を軸としている」とクリーガーはフォーブスに語った。
「すでに重要なデータをDatabricksで保管している企業は、Claudeを使って膨大な非構造化データを安全に取得・解析できるようになる。これは、企業にとって極めて重要なことだ」と、かつてインスタグラムを共同創業し、最高技術責任者(CTO)を務めた後に2018年にメタを離れたクリーガーは述べている。彼は昨年、Anthropicに加わった。