新規生産では足りず、古い在庫も枯渇
ロシアの産業界による装甲戦闘車両の年間新造数は現在、BMP-3歩兵戦闘車が200両、T-90M戦車が90両、BTR-82装甲兵員輸送車を含むほかの装甲車両が数百両といったところかもしれない。
一方、ロシア軍はウクライナ軍の地雷や大砲、ドローンなどによって、装甲戦闘車両を年にざっと4000両、月に350両弱のペースで失っている。
全面戦争1年目の2022年に、すでに戦場での移動手段の確保に追われるようになっていたロシアは、冷戦時代の老朽化した車両を広大な保管基地から引っ張り出すようになった。これらの古い車両は当初、数万両あった。
しかし、ロシア軍の作戦行動ペースが加速していくなかで、これらの古い車両を活用しても、前線の部隊に十分な数を必要な早さで配備することはできなくなった。
OSINTアナリストのJompyは昨年12月、装輪式のAPCであるBTRをケーススタディーとして取り上げ、そのことをうまく説明している。「ロシアは戦争前に保管していた3673両のBTR-60/70/80のうち、2358両をまだ保管しているようだ」とJompyは書いている。
だが、詳しく調べると「実際は大半が旧式のBTR-60とBTR-70で、状態も悪い」ことがわかった。これらを再就役させるのは非常に困難だとJompyは判断している。
民生車両はロシア軍にとって最後の手段だった。そして、その最後の手段の使用が常態になった。OSINTアナリストのMoklasenは1月下旬、ロシア軍の小型車がウクライナ軍の自爆ドローンに爆破される様子をまとめた映像に「ラーダ突撃はいまでは普通なのかな?」とコメントしている。
i guess this Lada storming is the norm now? pic.twitter.com/rmMxSJNWe8
— imi (m) (@moklasen) January 24, 2025
2カ月後、新常態はすっかり定着している。ロシア軍の部隊は攻撃にATVや小型車、軽装甲トラックをますます多く使うようになり、その結果、いまではこれらの車両が損失の3分の2以上を占めている。
一方で、損失には装甲戦闘車両もまだ相当数含まれている。何十年も前に製造された古い車両も多いとはいえ、その数は増えてすらいる。