就職は売り手市場と言われているが、それは一部の業種や企業に限られる。2025年度、正社員の採用予定がある企業はコロナ禍の水準にまで下がってしまった。募集をかけても人が来ない人材不足が問題視されてきたが、人員増強で売り上げを伸ばそうにも人を雇う余力がなく募集を断念するという危機的な悪循環に陥る企業が増えている。

これは、帝国データバンクが全国2万6815社を対象に行った2025年度の雇用動向に関するアンケート調査で判明したことだ。2025年度、正社員の採用予定があると答えた企業は58.5パーセント。コロナ禍の2020年は59.2パーセントを下回った。リーマンショックでは40パーセント台まで落ち込んだが、15年かけてようやく60パーセント台にまで戻してきた。コロナ禍での一時的な落ち込みはあったが2022年には再び60パーセント台に戻っていた。

採用予定がある業種は、人材不足に苦しむ運輸・倉庫、建設、金融など。大企業は8割以上が予定ありだが、中小企業と小規模企業の予定は少ない。非正社員においても同じ傾向が見られる。採用予定がある企業は全体で41.7パーセント。ここでも大企業は多く、中小企業が少ないという2極化の構造になっている。
