ブランドアンバサダーとしての女性アスリート
広告売上と視聴数の増加に伴い、報酬の格差是正の鍵となるもうひとつの要素が本格化している。それは、企業とのスポンサー契約だ。女性アスリートのブランドアンバサダーとしての価値が、高まっている。
EDOの調査によれば、WNBA選手を起用したゴールデンタイムの広告の効果は平均の2倍で、消費者のエンゲージメントがより高いという。中古車ディーラーCarMax(カーマックス)が、WNBAのスター選手であるサブリナ・イオネスク、チネニエ・オグミケ、エイジャ・ウィルソン、スー・バードを広告に起用したところ、エンゲージメントはリーグ平均の3倍近くに達した。
また、スポーツシューズメーカー「ニューバランス」と、キム・カーダシアンが共同創業した下着ブランド「SKIMS(スキムズ)」が、女子プロバスケットボールチームのロサンゼルス・スパークスに所属するキャメロン・ブリンクを広告に起用したところ、他をしのぐ成果をあげ、エンゲージメントはWNBAの平均的な広告を1,368%も上回った。
特に注目すべきは、WNBA試合中の広告にWNBA選手を起用すると、NBA選手を起用した場合よりも効果が高いことだ。それは、女性アスリートがブランド・エンゲージメントを促進できることを意味する。こうした好調な成果を受けて、女性アスリートのスポンサー契約は今後、ますます増えると見られる。
WNBAは2024年7月、メディア権利契約を新たに結んだことを発表しており、売上と視聴者数の増加が見込まれている。2026年からは、WNBAレギュラーシーズンと毎シーズンのプレイオフゲーム合わせて125試合以上が、ディズニー、アマゾン、NBCUniversalによって全米で放映される予定だ。ニューヨーク・タイムズ紙は、「それらの企業によってマーケティング費用を本格的に投じられるだろう」と予想している。
こうしたメディア権利契約からは、かなり大きな見返りが得られる可能性がある。実際、全米女子サッカーリーグは2024年1月、新たなメディア権利契約を獲得し、広告売上が9倍に跳ね上がった。WNBAもこれにならえば、リーグと選手たちの経済状況が改善する可能性がある。