ロシアの軍事ブロガー「ロシアのエンジニア(ルースキー・インジェニェル)」は、西部クルスク州でロシア軍が急速に収めた成功はドローン(無人機)火力の集中的な運用と、ウクライナ軍が完成させていた戦術の採用によって達成されたとの見方を示している。
クルスク州では、ウクライナ軍が最大時で1300平方kmほどのロシア領土を保持していたが、数カ月にわたり膠着状態が続いたあと、ロシア軍がわずか数日でほとんどの領土を取り戻した。ロシアのエンジニアによれば、これにはウクライナ軍の補給線を狙ったドローン戦術の「革命」が関係しているという。
「この革命によって、ほかの戦線でも同様の状況が繰り返されると予想できる」と彼は言い切っている(この投稿を紹介・翻訳してくれたアナリストのサミュエル・ベンデットへの謝意を記しておく)。
ドローン電撃戦
2024年8月にウクライナ軍が行ったクルスク州への劇的な進撃は、電撃戦の一形態だった。「電撃戦(Blitzkrieg、ブリッツクリーク)」は1930年代に登場した言葉で、集中させた機甲部隊が急激に進撃して敵陣を突破し、進軍を続けていくことを表す。2024年の電撃戦の違いは、集中させたのが装甲車両ではなく、電子戦システムとドローンだったことだ。
無線通信に対する偵察を通じて、この地域を飛行するロシア軍ドローンの動作周波数帯が割り出された。攻撃開始時に、これらの周波数帯は電子戦で一斉に妨害され、ロシア軍の偵察ドローンは空から一掃された。この好機はロシア側が周波数帯を切り替えるまでの束の間のものだったが、ウクライナ軍はその隙に攻撃ドローンを送り込んだ。「高精度のFPVドローンが群れをなして飛来し、絶え間なく弾幕を張った」と伝えられる。