ジャミング(電波妨害)とドローン攻撃の組み合わせで、ウクライナ軍による進撃の道が開かれた。ロシア側はウクライナ軍部隊の位置を知ることも、大砲を向けることも、またドローンを飛ばすこともできなかった。重装甲部隊でなく軽装部隊が、たいした抵抗も受けず急速に前進した。
ロシア軍はその後、ドローン部隊を投入して戦線を安定させ、ウクライナ軍の進撃を食い止めたようだ。とくに、無線に代えて光ファイバー経由で通信する新型ドローンを大量に使った。有線誘導の光ファイバードローンは電波妨害を受けず、電子戦でのウクライナ側の優位性を無効にした。
以後の戦いは、かつてウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領が「ドローンが使われる第一次世界大戦」といみじくも言い表したような状況に戻った。場所は今回はロシアの国土だったが。ロシアはこの膠着状態をどのように打破したのか。どうもそれは、ドローンをさらに使用することでだったらしい。
光ファイバードローンの威力
ロシアのクルスク奪還作戦の成功にはいくつかの要因がある。ひとつは、戦闘に慣れた大勢の北朝鮮部隊の存在だ。北朝鮮部隊は以前の経験から学び、着実に有効性を高めていた。
もうひとつは、米国の支援停止、とりわけ情報共有の停止だ。米国は衛星やその他の情報源から得たロシア軍の位置や部隊増強などに関するきわめて重要な情報をウクライナ側に渡していたが、ドナルド・トランプ米政権はそれを一時取りやめた。
しかし、通信アプリのテレグラムで10万人超のフォロワーをもつ前出の軍事ブロガー、ロシアのエンジニアによれば、最も大きな変化はドローンに関するものだったという。
「この革命は、わが軍のドローン操縦士とその他すべての支援部隊・装備の量から質への転換によって実現した」と彼は書いている。「ロシア軍は、現代の状況での現代的な手段による『戦場の孤立化』という戦術技法を習得したと言っていいだろう。ドローンを用いて、ウクライナ軍部隊への補給を遮断した。その結果、彼らは撤退する以外に選択肢がなくなったのだ」