機動戦の復活?
ロシアのエンジニアは、クルスク戦線での成功を新たな機動戦の幕開けとみている。彼の見解では、ドローンが膠着状態を生み出していたが、それをやはりドローンが打ち破った。
「両軍が新たな陣地戦に突入したあと、誰がこの膠着状態を打破できるかが問題になった。この膠着状態は、全面的な監視と大量の破壊手段の出現によってもたらされたものだった。その出現により、装備と人員を集中させることは無意味になった」とロシアのエンジニアは説明する。
「だからこそ、打開策もまた、ロボット戦とそれを遂行する能力、ロボットと連携し、ほかのすべての戦術を組み立て直して、機動のスピードを獲得する能力に見いだされたわけだ」
アナリストが言いがちなことでもあるが、彼は「これはまさに、わたしがずっと前から書いてきたことだ」とも付け加えている。
もっとも、ロシアのエンジニアがここで述べていることは一個人の解釈だ。よく言われるように、敗北は孤児だが勝利は千人の父親をもつ(編集注:失敗すると誰も進んで責任を取りたがらないが、成功すると多くの人が自分の手柄だと主張する、といった意味)。ドローン応援団はドローンを決定的な要因だと見なしたがるだろうし、ほかの人たちは別の要因をあれこれ挙げるかもしれない。
ただ、ウクライナ側が補給ルートをドローンの攻撃から守るため、防護ネットを張ったトンネルを設け始めているのは注目に値する。以前に検討したとおり、こうしたネットトンネルは限定的な防御しか提供しないものの、ないよりはましだ。また、こうした設備がドローンの脅威に対する懸念の高まりの表れなのは間違いない。
ロシアは現在、光ファイバードローンを千機単位で製造しており、おそらく次の大規模攻撃のために備蓄を進めている。ロシア軍がほかの戦線でも同様の成功を収めるというロシアのエンジニアの予想は、早計かもしれない。とはいえ、この新型ドローンはウクライナに難題を突きつけており、ドローン戦はまた新たな局面を迎える可能性がある。