宇宙

2025.03.17 15:00

イーロン・マスク「早ければ2029年までに人類を火星に送る」

イーロン・マスク(Samuel Corum/Getty Images)

イーロン・マスク(Samuel Corum/Getty Images)

米宇宙開発企業スペースXを率いるイーロン・マスクは3月15日、2026年末までに火星へロケットを送る計画をX(旧ツイッター)の投稿で明らかにした。彼はまた、2029年から2031年の間に人類を火星に送ることを目指すと述べている。ただし、マスクは以前から楽観的すぎる目標を掲げることで知られている。

マスクは、米東部時間3月15日早朝のXの投稿で、スペースXが2026年末にテスラが開発した人型ロボット「オプティマス」を搭載したスターシップ宇宙船を火星に送る計画だと明かした。

マスクはまた、2026年の計画が成功すれば、「早ければ2029年にも人類を火星へ送ることを目指す」と述べたが、「2031年の方がより現実的かもしれない」とも語っている。彼は、「希望者が誰でも火星へ行けるようにすること」を目標に掲げ、最終的には「火星を自立した文明にすることを目指す」と述べている。

マスクは以前から、地球上の生命が危機に瀕した場合に備え、人類を火星へ送ることの必要性を主張している。「それが人為的なものであれ、自然災害によるものであれ、地球上で何か恐ろしいことが起こった場合に備えて保険を用意しておきたい」と彼は、2020年に語っていた。

マスクは、火星を自立したコロニーにすることを構想しており、昨年は、スペースXのスタッフに対し、「2040年代までに100万人が火星に住むことを想定している」と語ったと報じられている。スペースXのウェブサイトの、火星でのミッションについて記したページには、火星が探査に適した場所である理由として、昼間の時間の長さが地球とほぼ同じであることや、十分な太陽光を受けられること、地球から最も近い惑星であることが挙げられている。

しかし、火星での暮らしには、極寒の気候や水資源が乏しいといった課題がある。これに対してマスクは、テスラ製のソーラーパネルを活用した電力で暖房することを提案している。

一方、マスクはこれまで、複数回にわたり自身が掲げた計画を延期したり、中止したりしている。彼は、2016年に2024年までに人類を火星に送ると述べたが、それは実現しなかった。また、2017年には2018年までに民間人向けの月周回旅行を提供すると発表したが、これも実現しなかった。

「自動運転タクシー」は大幅に遅延

また、マスクはテスラの自動運転タクシー「サイバーキャブ」の実現を、長年に渡り遅延させている。マスクは、2020年までにロボタクシーを走らせると予告していたが、2024年になってようやくそのプロトタイプを発表した。彼は、2024年10月にこれらの自動運転車を用いたタクシーの一般利用が、「おそらく2027年までに可能になる」と述べている。

フォーブスは、世界で最も裕福な人物であるマスクの保有資産を約3350億ドル(約49兆9000億円)と推定している。彼は以前から、自身が巨額の富を築く目的が、「人類を火星に送るという夢を実現するためだ」と述べていた。

スペースXはここ最近、2回連続で宇宙船の打ち上げ実験に失敗するなどの困難に直面している。6日に起こった2回目のロケットの爆発後にマスクは、これを「小さな挫折」と表現し、「多くのことを学んだ」と語った。スペースXは、宇宙船との通信が途絶え、「計画外の急速な機体の分解」が起こったと発表している。マスクはXへの投稿で、「生命を多惑星化するのは簡単ではない」と述べていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

タグ:

続きを読むには、会員登録(無料)が必要です

無料会員に登録すると、すべての記事が読み放題。
著者フォローなど便利な機能、限定プレゼントのご案内も!

会員の方はログイン

ForbesBrandVoice

人気記事